テリー・ストッツ

写真=Getty Images

導入後、チームは11勝5敗

あらゆる分野の効率化を促進するためIT化が進む現代において、NBAの中にもその流れに乗っているチームがある。トレイルブレイザーズの指揮官テリー・ストッツは、チームのバスケットボール・アプリケーション・ディレクターのジョー・リーが開発したアプリを昨年末から使い始め、その効果を実感している。

タイムアウトの際、コートが描かれたホワイトボードにプレーを書き入れて選手に指示するヘッドコーチが多い中、ストッツはiPadにインストールしたアプリを使って次のプレーを選手に指示している。ストッツは、『NBC Sports Northwest』に「慣れてきたよ。もうホワイトボードを使うつもりはない」とコメント。「以前は、コートの図が描かれたホワイトボードを使っていた。でもこの端末を使えば、プレーを保存しておける。それはジョーのアイディアで、役に立っているよ」

NBAでは2012-13シーズンから、対戦相手のスカウティング、データの共有、試合映像のレビューを目的として、ベンチでのタブレット端末、ノートPCの使用が認められている。アプリを活用し始めてからというもの、ストッツは書き間違えたプレーを手で擦って消し、書き直す必要がなくなったという。「5色のカラーが使えるんだ。それに、すぐに書いた内容を消去もできる。直前にやったアクションもundo機能で消せる。何も間違えることはないよ」

『NBC Sports Northwest』によれば、ストッツは色を使い分け、指示するプレーを実行する順番通りに選手のイニシャルを書くなど、ホワイトボードを使用していた時と比べて、より分かりやすく指示内容を伝えられているという。

もちろん、導入直後から61歳のストッツがすべてをすぐに使いこなせていたわけではない。使い始めた頃は20代の選手に助けられていたようだ。セス・カリーは「最初は何度かコーチにやり方を教えたよ」と話す。「前の試合の時には、スクリーンを消すやり方と、コートの画面を出す方法を教えたと思う。コーチが違うボタンを押してしまって、戻す方法が分からなかったみたいでね。自分は知っていたから」

このアプリを導入した昨年12月29日のウォリアーズ戦から、ブレイザーズは16試合を戦い11勝5敗を記録。順位も西カンファレンス4位にまで上げている。ストッツによれば、現在リーグでiPadを使用しているヘッドコーチは、自身とネッツのケニー・アトキンソンくらいだろうとのこと。

従来のホワイトボードの良さもあるだろうが、ブレイザーズのように、これからはNBAのベンチワークもIT化が進む時代を迎えるのだろう。