ジェイレン・ジョンソン

個人頼みからチームへ、オフェンスを変えるキーマン

ジョン・コリンズを放出して空いたホークスのフォワードの先発に収まったのはNBAキャリア3年目のジェイレン・ジョンソンでした。補強ではなく若手の成長を信じた策は、ここまで彼が14.5得点、フィールドゴール成功率62%、8.3リバウンドと期待に応える活躍を見せることで『正解』となっています。

ジョンソンは2021年のNBAドラフト1巡目20位指名を受けてホークスに加わりましたが、若手の層が厚いチームで出場機会が限られ、安定したパフォーマンスを発揮することができませんでした。総合的な能力は高いものの、シュート能力もディフェンス力も今一つで、ロールプレイヤーとして使うには特徴が足りなかったとも言えます。

それがスターターになった今シーズンは積極的にプレーメークに絡むようになり、スクリーンからゴール下にダイブしての豪快なダンクや、40%を記録している3ポイントシュートで高確率のフィニッシャーとして活躍。それだけでなく、ディフェンスでも迷うことなく自分のマークを捨てヘルプ役として動き回り、リバウンダーとしても機能しています。

この変化はジョンソン個人ではなく、ホークスがチームとして変化した部分でもあります。トレイ・ヤングとデジャンテ・マレーという優秀なポイントガードが2人いることで、昨シーズンまでホークスのウイングはプレーメークをハンドラーに任せ、スペーシングのためにコーナーで待つことが多かったのが、今シーズンはヤングとマレーが離れた位置にポジションを取り、2人の間に入るウイングがパスを引き出す動きからコンビプレーを繰り返す形が増えてきました。より流動的にポジションチェンジを行って5人全員がプレーに絡むようになっています。

その中でもジョンソンはチームで3番目に多い35.4本のパスを記録するなど中継役としてプレーに絡み、ペイント内にスペースができればタイミングよく飛び込んで得点を奪うなど、ダイナミックなオフボールムーブが目立っています。新しいオフェンスシステムでジョンソンが機能したこともあり、ホークスのパス数は昨シーズンから20本以上増えており、8人が2桁得点とバランスアタックが実現しています。

ホークスのオフェンスは、個人に任せてもオフェンスを構築できるヤングとマレーがいることで単調になりがちでしたが、今シーズンはウイング陣が効果的にオフェンスに絡めており、ヤングのシュートタッチが悪くてもチームとしては他でカバーできるようになっています。『ヤングの調子次第』からの脱却が4勝2敗のスタートダッシュに繋がり、チームで戦えていることが雰囲気の改善にも繋がっています。その大きな要因となっているのがジェイレン・ジョンソンのクオリティの高いプレーであり、攻守にハッスルしてチームに勢いを与える3年目のウイングが、ホークスのキープレイヤーになり始めています。