キングス戦、土壇場の逆転シュートをねじ込む
第3クォーターにキングスが一度は2桁のリードを奪ったが、それも長くは続かず。79-74で迎えた第4クォーター開始直後にジョナサン・クミンガのフリースローでウォリアーズが点差を3に縮めた後は、最後まで1ポゼッション差で推移した。残り33秒、ステフィン・カリーが逆転のフローターを沈めるが、続くポゼッションでドマンタス・サボニスがミドルジャンパーを成功させてキングスが101-100と再びリードを奪う。
ベテラン揃いのウォリアーズに、この心身ともに気の抜けない持久戦は厳しい。アウェー3連戦を終えて本拠地チェイス・センターに戻りはしたが、このあとアウェー4連戦が控えている。2日前の夜中にニューオリンズから戻り、前日はシューティングさえ行わない完全オフ。普段のルーティーンを崩すぐらいの正念場がシーズン序盤にいきなり訪れ、8試合で唯一のホームゲームでここまで追い詰められたら、集中が途切れてもおかしくはなかった。
「すべてが不利な状況だった。でも、僕らは屈しなかった。何もかも思い通りにいかなくても、最後まで勝ちにこだわった」とドレイモンド・グリーンは言う。
残り15秒での最後の攻め。ボールを運ぶカリーはハーフラインを超えたところでダブルチームを仕掛けられ、ボールを手放さざるを得なかった。キングスはその瞬間に守備のポジションを修正してズレを作らせない。ボールを受けたグリーンはカリーに返すことを一番に考えたが、相手ディフェンスにコースを消されていた。こうしてパスはクレイ・トンプソンへ。そのクレイも守備の名手であるデイビオン・ミッチェルにマークされていたのだが、自分で打つ以外の選択肢は残りの秒数が許さなかった。リムに飛び込む姿勢を一瞬見せたことでミッチェルとの間にわずかな距離を作り、プルアップを放つ。窮屈なシュートではあったが、スタンド総立ちの観客が見守る中で、ボールはリングに吸い込まれた。
試合後のクレイは「ゲームウィナーを決めれば、いつだって気分は雲の上だよ。もっと良いプレーができたかもしれないけど、最終的には素晴らしい勝利を挙げることができた」と上機嫌だった。そして、アキレス腱と膝の前十字靭帯の手術で2シーズンを棒に振る以前となる2018年以来のゲームウィナーを、こう振り返る。「時間が残っていないのは分かっていたので、ドリブルで体勢を作って打つことだけを考えていた。こういう場面で大事なのは自信で、自信を持って打てたのが良かったよ」
昨シーズンは最初の5試合を3勝2敗で終えた後、アウェー5連戦で全敗したことで波に乗れなかった。ウォリアーズはその轍を踏むわけにはいかないが、クレイは今のチームに自信を持っている。「若い選手たちが信じられないほどの成長を見せている。そして今日はダリオ(シャリッチ)がビッグショットを何本も決め、クリス・ポールは自己犠牲を厭わずセカンドユニットを率いている。これはチームにとって天の恵みだ」とクレイは言う。
「ひとまず良いスタートを切ることができた。開幕戦ではひどい負け方をしたけど、すぐに立て直せたことが僕らがどんなチームなのかを示していると思う。これから長い遠征に入るけど、アウェーで勝てなかった昨シーズンをひっくり返すようなストーリーになることを期待しているよ」