手術後初の対人プレー「ひとまず20分出られたことが収穫です」
10月28日。千葉ジェッツの原修太が、ファイティングイーグルス名古屋とのゲーム1で、2023-24シーズン初の試合出場を果たした。日本代表の一員としてワールドカップに出場した原は、大会後の9月11日に両足の手術を実施し、他の選手たちから約1カ月遅れての開幕ゲームとなった。
ワールドカップ以来初めての対人プレーとなるこの試合に、原はスタメンとして出場し、18分12秒の出場で2得点(フィールドゴール1/6本)。翌日のゲーム2もスタメンとして22分48秒出場し、6得点(フィールドゴール2/5本)という内容だった。
「スケジュールの都合でチーム練習もできていなくて、昨日初めて対人をやってという状況を考えたら、ひとまず20分出られたっていうのは収穫です。ただ5~60パーセントくらいのパフォーマンスしか出せていないので、これから上げていかなければいけないなと思います」
原はこのように、自身における開幕節のパフォーマンスを振り返った。
千葉Jは昨年のレギュラーシーズンを53勝7敗で終え、天皇杯優勝、チャンピオンシップ準優勝という輝かしい結果を収めた。しかし、ギャビン・エドワーズ、クリストファー・スミス、ヴィック・ローらが退団した今シーズンは、開幕節の2連敗を含む5勝4敗と思うように勝ち星を挙げられていない。今節も、昨シーズン2度の対戦でいずれも圧勝したFE名古屋にゲーム2で敗れている。
チームが波に乗れずにいる理由に、上記選手の退団や、原を含む主力のコンディション不調があるのは間違いない。しかし、原は「誰がとかでなくチームとしてタフに戦えていないのが問題かなと思います」と別の観点からチームの課題を指摘する。
「僕がプレーで見せて、全員がタフになれるよう引っ張っていきたいです」
タフさは、原がワールドカップで学んだことの1つだ。今夏の経験を「ワールドカップで対戦したチームは、出てくる選手全員が本当にタフに一つひとつのプレーをていねいにやっていて『これが世界レベルだ』って感じました」と振り返った原は、長崎ヴェルカに2連敗した開幕節に大きなフラストレーションを募らせていたという。
「チームとして戦う準備ができていなくて『このまま1勝もできないんじゃないか』って思うくらいウズウズしたというかイライラしたというか…。去年いい成績を残したからとかでなく、この数年当たり前にできていたタフに戦うことができていなくて、イライラしました」
だからこそ原は今シーズン、新たな役割を果たそうとしている。若い選手たちや加入から年数が浅い選手たちに、これまで千葉Jが築き上げてきたタフに戦うカルチャーを伝えること。そして、そのカルチャーを世界基準に押し上げていくことだ。
「フィジカルにプレーすることを僕が率先してやって、チームにいい影響を与えられたらいいかなと。言葉で伝えるというよりは、プレーで。僕自身もケガで今はできていないので、自分を含めてチーム全体にそういう意識を根付かせるところから始められればいいかなと。僕は自分がディフェンスのリーダーだと思っているので、僕がプレーで見せて全員がタフになれるよう引っ張っていきたいです」
取材の中で「去年は勝ちすぎて、チームの課題みたいなところにあまりフォーカスできなかった」と、強者ならではの悩みを漏らした原。新規加入選手や若い選手たちと新たなケミストリーを構築していくことになる今シーズンは、昨年よりも黒星が増える可能性が大いにあるが、原は「徐々に勝ちながらそういうところを直していけたら」と新たな挑戦を前向きにとらえている。
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