デイミアン・リラード

「チームメートが僕を勇気づけてくれるおかげ」

バックスは開幕戦でセブンティシクサーズに118-117で勝利した。相手はジェームズ・ハーデン抜きでチーム状態は良くなかったが、ジョエル・エンビードとタイリース・マクシーの調子は良く、これを上回るにはヤニス・アデトクンボとデイミアン・リラードの活躍が欠かせなかった。

アデトクンボは23得点13リバウンド3アシスト2スティール2ブロックと攻守に幅広い活躍を見せ、リラードは39得点を記録。接戦の終盤に『デイム・タイム』が発動し、2点ビハインドの残り4分から14得点を叩き出してシクサーズを退けた。

リラードは言う。「チームメートが僕を勇気づけてくれるおかげで、僕は自分らしくプレーできている。勝負どころで自分に何が期待されているかは分かっている。みんな僕が主導権を握ってプレーを選択できるよう状況を整えてくれる」

NBAデビューからずっとトレイルブレイザーズ一筋で、他のチームの選手としてプレーする初めての試合。違和感は「間違いなくあった」とリラードは認める。「これまでアリーナに来て出会う人はみんな面識があった。コートに入って観客席を見回せば、見知った顔があちこちにあった。そういう環境に僕は慣れていたから、ここはまだアウェー感がある。ちょっとだけルーキーみたいな気持ちになったよ」

それでもリラードは「僕は勝つためにここに来た」と言い、「新しい環境への順応より、チームとの繋がりを作ることを意識している」と続ける。「環境に馴染む必要はあるけど、それはあくまで僕個人の話。仕事をやり遂げるにはチームとの繋がりを作ることだ。それはバックスに来た日から続けて、今ではもう良い感じだよ」

ブレイザーズとの違いは、周囲が経験豊富なベテランで固められていることだ。「試合が始まってすぐ、クリス(ミドルトン)やブルック(ロペス)が自分の望むプレーを伝えてきた。自分がすべての責任を背負う必要がないと感じられて気が楽になった。僕が毎回エネルギーを使わなくてもチャンスは生まれていく」

「僕が主導権を握ると言ったけど、僕がチームにプレーを合わせていくつもりだ。新しいチームに来て『こうすべきだ』なんて言うつもりはない。このチームのスタイルを学び、自分のプレーをどうフィットさせるかを考えてベストを尽くすよ」

『デイム・タイム』ばかりが話題となるが、第2クォーター途中には印象深い出来事があった。アデトクンボがベンチに下がっている間、バックスのオフェンスは必ずしも噛み合っていなかったのだが、リラードはこの時間帯だけ強引に仕掛けて得点を重ねていく。アデトクンボが休んでいた3分間で15-5のラン、リラードは11得点1アシストと『デイム・タイム』を発動させている。

これからリラードはバックスのバスケを学び、チームメートたちも彼をより深く知っていく中で、そのプレーはどんどん精度を上げていくはずだ。少なくとも現時点で、バックスのリラード獲得という賭けは大成功と言える。