ジェームズ・ハーデン

ハーデンはチームに合流するも、遠征参加は認められず

セブンティシクサーズは2023-24シーズン開幕戦でバックスと対戦したが、そこにジェームズ・ハーデンはいなかった。契約延長を巡ってダリル・モーリー球団社長と衝突しているハーデンは、チームのトレーニングキャンプに遅れて合流した後、練習に顔を出さなくなった。それから10日、開幕前日のチーム練習にやって来たが、開幕戦のミルウォーキーへの遠征メンバーから外され、チームの練習施設に残るよう指示を受けた。

ヘッドコーチのニック・ナースは、シクサーズのフロントには選手のコンディションを管理する部門があり、そのスタッフが決定を下し、懲罰ではなくコンディションを整えるためだと説明する。ハーデンがどう受け止めたかについては「彼も自分がコンディションを上げなければいけないのは分かっている」と答えた。

それでも『NBC SPORTS』によれば、ハーデンはチームに帯同すべく空港までやって来て、そこであらためて遠征には参加させないと通達されたそうで、これも今後の火種となりそうだ。彼の移籍先と見られるクリッパーズもすでにシーズン開幕を迎え、カワイ・レナードとポール・ジョージ、ラッセル・ウェストブルックの揃い踏みでトレイルブレイザーズに快勝を収めている。彼らにチームを大きく変える補強は必要なく、ハーデンの移籍交渉がすぐにまとまる可能性はないと見られる。

自分勝手に行動し続けるハーデンに、チームメートは愛想を尽かしているようだ。ケリー・ウーブレイJr.は久々にハーデンが来た練習について「何の変化もなかった。すべてはいつも通りで、良い練習ができた」と淡々と話し、トバイアス・ハリスはハーデンと自分たちを切り離してこう語る。「僕らは昨シーズンに目標を達成できず、悔しい思いをした。最高のチームとなって大きなことを成し遂げられるだけのメンバーは揃っているから、外部の雑音に惑わされず、みんなモチベーションを高めている。みんなそれぞれ、チームとして個人として証明しなきゃいけないことがあるんだ。そのための準備はできているし、自信はある」

ハーデンの欠場について、NBAが調査に入るとの報道もある。NBAでは正当な理由なしに選手が試合に出ないことを認めないルールを作った。オールスター10回選出の選手がケガもないのに、全国放送される注目のゲームを欠場するのはリーグにとって看過できない事態だろう。

その開幕戦、シクサーズはバックスに117-118で敗れた。接戦ではあったがほとんどの時間帯でビハインドを背負い、第4クォーターに一度は逆転に成功するもリードを守り切れず。バックスでのデビュー戦でデイミアン・リラードが39得点を奪い、『デイム・タイム』と呼ばれるクラッチタイムの勝負強さも発動。シクサーズはタイリース・マクシーとエンビードのツーメンゲームで対抗するも及ばなかった。

「ハーデンがいれば」という単純な話ではないが、スター選手の不在が長引けば深刻な戦力ダウンになるし、チームに加わるにしても不平不満を抱えながらプレーするようではチームは一丸となれない。『ハーデン問題』が解決しないまま、シクサーズは不穏な開幕を迎えてしまった。