ハリソン・バーンズ

「このような試合に勝つとチームは勢いに乗れる」

キングスは西カンファレンスで3位と躍進し、16シーズンぶりのプレーオフ進出を果たした。ウォリアーズにファーストラウンドで敗れたものの、圧倒的な経験値を持つチームを相手にプレーオフで堂々の戦いを繰り広げたことは、チームのさらなる成長のきっかけになる。若いチームの成功のペースを鈍化させることなく、昨シーズンの成功を次の成功へと繋げるのが今シーズンの目標だ。

その若いチームに経験を与えるのは、引き続きハリソン・バーンズの仕事になる。2015年にNBA優勝に貢献したウォリアーズのイメージがいまだ残るが、彼の在籍はウォリアーズが4シーズン、マーベリックスが2シーズン半で、キングスはこれで6シーズン目。3年5400万ドル(約73億円)の契約延長に合意したばかりの彼は、キングス在籍年数をさらに伸ばすことになる。

攻守にインテンシティの高さが求められるフォワードのポジションで、キングスのハイペースなバスケに合わせるのはベテランには酷なはずだが、31歳のバーンズは昨シーズンは全試合にスタメン出場、プレータイムは平均32.5分と衰えを感じさせない。そして現地10月25日に行われた新シーズン開幕戦、ジャズを相手にいきなり33得点の大爆発で、130-114の勝利に大きく貢献した。

ディアロン・フォックスとケビン・ハーター、バーンズ、キーガン・マレー、ドマンタス・サボニスのスタメン、さらにマリーク・モンクにデイビオン・ミッチェルと主力の顔ぶれは昨シーズンから変わらない。ジャズも昨シーズンに成功を収めて継続路線を採っているが、完成度はキングスが上。ハイペースに持ち込んでチームでパスを回し、チャンスと見れば迷わずシュートを放っていく。ジャズの高さとフィジカルに苦しんだ面はあったが、機動力と連携で上回った。

前半だけでフィールドゴール11本中10本成功、3ポイントシュートは5本すべてを沈める絶好調ぶりで27得点を記録。これはNBAが記録を取り始めた1996-97以降、開幕戦での前半の最多得点を更新するものだ。それでもバーンズは「ボールムーブメントが良かったおかげで、キャッチ&シュート、特にコーナーでの3ポイントシュートのチャンスをたくさん作ることができた。そのおかげでリズムに乗れた」とチームプレーの成果であることを強調する。

バーンズとプレーするのが6年目となったフォックスは「彼のすごさは効率の良さだ。16本のシュートで33得点、そんなプレーを今までも何度もやってきた」と興奮した面持ちで語る。

バーンズはフォックスとは対照的に、開幕戦の勝利を喜んではいるが落ち着いた口調で「良いプレーができたと思うし、特に新加入の選手たちが勝利のためにチームプレーをしてくれて良かった」と語る。

彼は自分の手柄を誇ろうとはしない。効率良くシュートを決める秘訣を問われても「ペースが速く、ボールがよく動いていたから」と答え、「ドマス(サボニス)が僕のディフェンスの注意を中へと引きつけてくれたおかげで、僕はペリメーターでオープンになれた」と続ける。

バーンズは大事な開幕戦を良い内容で勝てたことに安堵している。「敵地での開幕戦に勝ったのは大きい」と彼は言う。「このような試合に勝つとチームは勢いに乗れる。スタートで出遅れて挽回する展開にはしたくない。正しいスタートを切るのが大事だった」