劣勢に耐えて食らい付き、最後はギブスの決勝弾
栃木ブレックスvs川崎ブレイブサンダースの金曜ナイトゲーム。終盤にこの日最大となる9点のビハインドを背負った栃木だったが、ラスト3分半で14-4と脅威的な追い上げを見せ、残り2秒でのジェフ・ギブスの決勝ゴールで79-78の逆転勝利を飾った。
最初にペースをつかんだのはホームの栃木。ピック&ロールからズレを作り、空いたスペースをドライブで切り裂き、イージーな得点機会を作り出す。ギブスがゴール下を制圧し、6人が得点するバランスの良いオフェンスを展開した。守備ではスイッチとディナイを多用しズレを作らせず、堅守から走る得意な形も出て、24-15と先行した。
だが第2クォーターに入ると、ゾーンとマンツーマンを併用したチェンジングディフェンスが機能し、栃木のフィールドゴール成功率を31.6%に抑えた川崎のペースに。強度の高いディフェンスを攻めあぐねたが、バーノン・マクリンが個で打開して10得点を挙げ、シュートファウルを誘い、11本ものフリースローを獲得(栃木1本)するなど、フリースローで繋いで追い付く。
後半に入り、3スティールを記録したギブスを筆頭にハンドチェックを強めた栃木がポゼッション数で上回るも、シュート精度が高く少ないチャンスをモノにしていく川崎も対抗。2ポゼッション以内で推移し、リードチェンジを繰り返す。ファジーカスとライアン・ロシターがコートにダイブするなど、勝利への執念を感じさせる白熱した展開となった。ロシターが速攻から難しいレイアップを沈めて65-65としたところで、オフィシャルタイムアウトを迎えた。
あきらめない栃木、本領発揮の逆転勝利
スコアが示す通り互角の展開だったが、オフィシャルタイム明けに一歩抜け出したのは川崎だった。ゾーンを敷いた栃木に対し、長谷川技がこの日3本目の3ポイントシュートを沈めると、直後のオフェンスで篠山竜青がファウルを受けながら3ポイントシュートを決める。この4点プレーで勢い付いた川崎は、再び篠山がスティールからミドルシュートを沈め、約1分で9点のリードを奪った。
残り時間は3分30秒。ここで一気に崩れてもおかしくはなかった。だが「時間はまだある」と鼓舞する田臥勇太に応えるように、栃木がここから驚異的な粘りを見せた。遠藤祐亮がデザインされたプレーからレイアップを沈めて、悪い流れを一度断ち切ると、栃木は前線からプレッシャーを掛け、川崎のオフェンスを停滞させる。
アーリーオフェンスから渡邉裕規が3ポイントシュートを沈め、反撃ムードを高めると、ギブスが自らのシュートミスを2度拾って得点に繋げ、残り36秒で1点差に詰め寄った。
この勝負どころで最大の集中力とディフェンスの強度を見せた栃木は、直後のディフェンスで24秒バイオレーションを誘発し、ポセッションを得る。残り8秒、自陣からのスローインでボールを受けたギブスが、そのままリングへのアタックから得点し、残り2秒で逆転。タイムアウトを使い切っている川崎は、ファジーカスのロングパスから長谷川がタフショットを放つも、これが決まらず試合終了となった。
終盤のゲームメークに課題、こぼれた勝利
我慢の試合を勝ち切る栃木の精神的なタフさが目立った試合、渡邉は「我慢の試合。ちょっとでも投げ出してしまうと負けてしまう試合だったので、勝利できたのは最後まで粘れた結果だと思う」とチームとしての本領発揮の勝利に胸を張ると同時に「ディフェンスのミスで9点リードされたのは修正が必要」と課題に目を向けることも忘れない。
痛恨の逆転負けを喫した川崎の北卓也ヘッドコーチは「選手はよく頑張ってくれましたけど、最後の最後で負けて非常に残念」と正直な思いを吐露。そして、「勝負どころの攻防でウチは良いシュートが打てなかった」と敗因を語ったように、勝っていたはずのゲームを締めることができなかった終盤のゲームメークは大きな課題だった。
また、長谷川は「最後の最後にリバウンドを取られて、(ポイントは)そこだったんじゃないかなと反省しています」とコメントし、ギブスに連続でオフェンスリバウンドを許し、1点差に迫られたシーンを試合の分かれ目に挙げた。結果的に、栃木が10-9とオフェンスリバウンドで上回ったことを考えると、その通りなのかもしれない。
これで川崎は栃木に対し3連敗。チャンピオンシップで対戦する可能性を考えると、今日の第2戦で苦手意識を払拭したいところだ。