優勝を狙えるチームでないと移籍もあり得ると発言

複数のメディアが、バックスのヤニス・アデトクンボが3年1億8600万ドル(約280億円)の契約延長に合意したと報じている。『ESPN』によると最終年の2027-28シーズンはプレーヤーオプションだという。

2013-14シーズンのNBA入りからバックス一筋のアデトクンボは、これまでバックスやミルウォーキーという街へ高い忠誠心を示し続けていた。だが、9月になってチームが優勝を狙えるロースターでない場合は、契約延長をせずに移籍の可能性を示唆する発言をしたことで去就が騒がれていた。

このアデトクンボの発言が影響したのか、バックスはリーグ随一のスコアリングガードであるデイミアン・リラードをトレイルブレイザーズから獲得する大型トレードを成立させた。堅守でチームを支えていたドリュー・ホリデーを交換要員として放出したのは大きな代償だったが、それでもバックス首脳陣は優勝するために変化を求めた。

ちなみにリラードの契約は、2026-27シーズンがプレーヤーオプションとなっている。また、アデトクンボと共に長らくチームを牽引しているクリス・ミドルトンとも今オフ、3年1億200万ドル(約150億円)で契約延長に合意。最終年はプレーヤーオプションとなっているが、少なくとも来シーズンまで、アデトクンボ、リラード、ミドルトンのビッグスリーを契約下に置くことに成功している。

今回のアデトクンボの契約延長は、優勝を狙えるチーム作りを果たした首脳陣に満足したことを何よりも証明している。もちろん、あれだけブレイザーズへの忠誠を強調していたリラードが今オフチームと決別して移籍したように、契約期間中はアデトクンボが必ずバックスでプレーすることが確約されたわけではない。NBAでは、スーパースターが移籍を強固に要求すればたとえ契約途中であってもチームが放出せざるを得なくなる例は、リラードに限らず枚挙にいとまがない。

何にせよ、この契約によってアデトクンボが余計なコート外の雑音をなくして新シーズンを迎えられるのは間違いない。開幕直前になってアシスタントコーチのテリー・ストッツがチームから去ったバックスだが、今回の契約延長はこのネガティブなニュースを一気に払拭する明るい材料となったはずだ。