ニック・ファジーカス

文・写真=鈴木栄一

「タフなチーム相手には少しのミスが大きな痛手となる」

1月23日、川崎ブレイブサンダースは敵地で横浜ビー・コルセアーズと対戦。第1クォーターで9点のリードを許すなど先手を取られるも、すぐに盛り返すと第4クォーター序盤に激しいディフェンスからの連続得点で一気に突き放し、79-70で勝利した。

この試合、川崎のニック・ファジーカスは「序盤はシュートミスもあったけど、試合全体でフィールドゴール22本中13本成功は良い数字」と振り返るように、第1クォーターでのフィールドゴール7本中3本成功から持ち直して28得点と、いつも通りの支配力で勝利に貢献した。

一方でチームとしては試合を通してパスミス、キャッチミスなど凡ミスも目立ち、北卓也ヘッドコーチも「内容は良くなかった」と振り返っている。この点についてはファジーカスも「ミスが多かったことに少しフラストレーションはある。練習からこの点については話しており、チームがより一体となって修正しているところだ。タフなチーム相手には少しのミスが大きな痛手となってしまう」と同じ意見だ。

その上で「どんな勝利でも素晴らしいものだ。イージーだったのか、ひどいプレーだったのか、内容に違いはあっても最終的にはいかなる試合でも勝利が必要だからね」と、苦しみながらも勝ちをつかめたことへの手応えもある。

これで連勝を5に伸ばした川崎だが、明日、明後日と難敵の栃木ブレックスに挑む。今回のような凡ミスが多い内容では勝てない相手であることはファジーカスも十分に理解している。しかし、「自分たちが正しいプレーをすればどんな相手にでも勝てる。栃木相手にも良いプレーができることを期待している」と、本来の力を披露できれば結果はついてくるとの自信がある。

ニック・ファジーカス

「5月にベストなバスケットボールをすることが大切」

栃木は比江島慎という強力な戦力を加えているが、だからこそ試行錯誤している部分もあると見ている。「マコ(比江島)のことは好きだし、素晴らしい選手だ。ただ、今の栃木は彼が加入して、チームに馴染ませるためにも試合でシュート打たせ、ボールタッチをさせている状況だと思う。それにより、これまでのチームと違ってくる面はあると思う。さらにチーム力を高めていくための『産みの苦しみ』はあるだろうね」

そして、エドワーズの故障離脱により「爆発力の面で影響はある」と語るチーム事情の中、ライアン・ロシター、ジェフ・ギブスという栃木の強力インサイド陣を相手にしても、ゴール下でしっかり存在感を発揮することが自分に求められてくると意義込みを語る。

「テンポをコントロールして、ペイント内での良いシュートを打つこと。ゴール付近から自分が決めることでチームに自信をもたらしたい。これこそ自分が集中しているところで、ポストでのボールタッチを増やしていきたい。そこから展開してアウトサイドからのシュートを決めていき、オフェンスがうまくいくようにしていきたい」

これからシーズンもいよいよ後半戦に突入する。下馬評では地区優勝の大本命に推す声も多かった川崎だが、現状は中地区の2位であり、地区首位に早く追いつき、追い越せといきたいところではあるが、「まだ1月だから焦る必要はない。5月にベストなバスケットボールをすることが大切だ。今は試合を楽しんで目の前の勝利をつかむことに集中している」と、ファジーカスは冷静にとらえている。

その上で自身のプレーについては「今はアグレッシブにプレーしていくだけ。3本続けてシュートを外したら、次の3本を続けて決めてやる気持ちを持つことだ。時にはすべてのシュートを決めなければいけないと思うこともあるけど、バスケットボールはそれができるスポーツじゃない。そのことは自分に言い聞かせている」と意識している。

「栃木戦は今のチーム力を図る絶好のテストとなる」と語るが、それはファジーカス自身の復調ぶりを見る意味でも同じことが言える。注目の連戦でどんなプレーが見られるかが楽しみだ。