「ファンに自分のプレーを見せることが僕の誇り」
クレイ・トンプソンとウォリアーズの契約は最終年を迎えている。彼らが築いた『王朝』は耐用年数の限界に近付いており、いずれどこかでコアメンバーが抜けることになる。この1年はドレイモンド・グリーンがその状況にあり、契約延長に合意するまでは様々な噂が付いて回った。そして今、クレイに順番が回ってきた。今シーズンの年俸は、ステフィン・カリーの5200万ドル(約70億円)に続く4300万ドル(約60億円)で、すでにNBA30チームで最も多くの選手年俸を支払っているウォリアーズに大盤振る舞いの余裕はない。どこかで折り合いを付けて契約を延長するか、キャリア終盤を他のチームで過ごすか──。
それでも、クレイの考え方は至ってシンプルだ。『The Athletic』の取材を受けた彼は、「13年目のシーズンを迎えるという事実だけで僕は安心できる。お金ならこれまでで十分に稼いで、自分と家族、大事な人たちを養うことができる」と語り始めた。
「僕はバスケを始めた時に、金持ちになりたいとか有名になりたいとか全然思っていなかった。大好きな父を手始めに、自分があこがれた選手を追い掛けたんだ。そして、自分の好きなことを仕事にしたかった。それが13年目になるなんて本当に素晴らしいよ」
そして彼は、『稼ぐ』ことの重要度をこう説明する。「自分の仕事さえちゃんとやっていれば、このリーグで長く稼ぐことができる。限られた条件の中で最大限に稼ぎたいという気持ちはゼロじゃないけど、勝利より優先されることはあり得ない。優勝すれば、他の問題はすべて解決する」
では、優勝を狙えるチームであればウォリアーズにこだわりはしないのだろうか? それは絶対にノーだ。クレイはこう続ける。「今はアメリカのどこに遠征しても、世界のどこに行ってもウォリアーズのファンがたくさんいる。彼らが掲げる横断幕ができる前から僕はここでプレーしているんだから、僕らの子供みたいなものさ(笑)。だから、それをやりきりたい。このチームの一員になれたことがいかに幸運だったかは理解しているし、他のユニフォームを着るのは想像できない」
そんな彼は今、長いケガの影響を脱して十分にプレーできることの喜びを隠さない。ロードマネジメントが話題になる中でも、彼は「ずっとプレーしていたい」と言う。「ケガを経験する前は基本的にすべての試合に出ていた。僕はウォリアーズのファンが大好きだから、ケガしている時期にプレーする姿を見せられないのがつらかった。特にアウェーの試合だと、ファンは相当な苦労をして僕らの試合を見に来る。そんなファンに自分のプレーを見せることが僕の誇りなんだ」
こういった発言を見る限り、クレイはウォリアーズのオファーを受け入れるだろう。そしてウォリアーズもまた、クレイの長年の貢献を最大限に尊重した条件を提示するはず。そう考えると心配することは何もない。「自分の仕事さえちゃんとやっていれば大丈夫」。クレイの言葉通りに物事は進んでいくはずだ。