ビクター・ウェンバニャマ

20得点デビュー「興奮していたけど緊張はしなかった」

現地10月9日、サンダーとスパーズが初めてのプレシーズンゲームで対戦した。注目はビクター・ウェンバニャマとチェット・ホルムグレンのドラフト全体1位選手のマッチアップ。試合は122-121でサンダーが勝利したが、インパクトとしては今シーズンのドラフト1位、ウェンバニャマが上回った。

身長223.5cmで腕も長いウェンバニャマは、NBAプレーヤーに囲まれても『高さと長さ』では突出している。スピードがあるタイプではないが動きはしなやかで、スピンムーブからシュートに行き、ブロックをかわすためにダブルクラッチで決めた動きは小兵ガードのそれだった。

速攻で走り出せばビハインド・ザ・バックを交えながらスピードを落とすことなくリムへと向かう。頭の上にボールを持ち上げてシュート体勢に入れば、その高さはもうブロック不可能に思える。少なくとも攻守にインテンシティがまだ低いプレシーズンゲームでウェンバニャマを止める手段はないようだった。

最初の得点は、デビン・バッセルのフリースローがリムに嫌われた次の瞬間に、軽やかなティップで押し込んだもの。続いては速攻でタッチダウンパスを呼び込んでのイージーダンク。大きな注目を浴びてはいるが、冷静に、飄々とプレーした。19分のプレーで20得点5リバウンド2スティール1ブロックを記録。それでもインパクトはスタッツ以上のものだった。

興味深いのは、彼がセンターでプレーしていなかったことだ。ゴール下を主に任されたのはザック・コリンズで、ウェンバニャマはパワーフォワードとしてプレー。より自由なイマジネーションを生かし、幅広いプレーを許されていた。この起用法はサンアントニオでの公開スクリメージから続いており、このまま定着するようだ。コリンズは言う。「まだあまりやったことがないけど、感触はすごく良い。彼はインサイドだけじゃないオールラウンダーだ。ここから試合数を重ねて良いケミストリーを作って開幕を迎えたい」

ウェンバニャマは、試合後の会見でも落ち着いており、「すべて想定通りだった。昨日からすごく興奮していたけど、緊張はしなかった」とデビュー戦を振り返る。

指揮官グレック・ポポビッチからは、試合前にどんなプレーをするつもりかと問われ、「ハードに戦いたい」と伝えたところ、満足そうに「そうだな」と言われたそうだ。ここまでコーチ・ポップは細かな注文を与えていない。ウェンバニャマは「コーチは選手に自由を与えてくれる。アドバイスは必要なものだけ選手に伝えて、選手の創造性を引き出しているんだと思う」と、ポップのやり方を心地良く感じているようだ。

ウェンバニャマの存在は大いに注目され、それによりスパーズの注目度も上がっている。スパーズで4年目のシーズンを迎えるバッセルは、再建中の時期と今の注目度の違いに興奮を隠せない。「バスケは一人の力だけでは勝てない。このチームには熱意とハングリー精神に満ちた若い選手が揃っていて、オフには厳しいトレーニングをやってきた。その成果を多くの人に見せたい。ウェンビー効果を見せるのは、彼だけじゃなくこのチームもなんだ」