「僕は何も変わっていない。年を取って経験を重ねて成長しているだけだ」

ヒートのタイラー・ヒーローは昨シーズン、67試合出場で平均20.1得点、5.4リバウンド、4.2アシストを記録。2シーズン続けて平均20得点以上と、リーグ有数の若手シューターと呼ぶにふさわしいプレーを見せた。しかし、故障によってプレーオフはわずか1試合出場に終わり、チームのファイナル進出に貢献できなかった。一昨年もプレーオフでは平均12.6得点と大きく数字を落としたこともあり、ここ一番での頼りなさを指摘する声が大きくなった。

オフシーズンに入ると、ヒーローがトレイルブレイザーズからデイミアン・リラードを獲得するための交換要員となり、トレイルブレイザーズがこれを拒否したと報道された。これはヒーローの残り4年総額1億2,000万ドル(約178億円)という高額年俸以上に、ブレイザーズにはすでにチームの中心となる若手ガードが揃っていることが大きな理由だったが、「拒否」という部分が大きく取り上げられることで、ヒーローが不愉快な思いをしたのは想像に難くない。

最終的にリラードはバックスへと移籍し、ヒーローはヒートに残留し新シーズンを迎える。そして地元紙『The Sun-Sentinel』の取材に対しヒーローは「ポートランドについて個人的に何か問題があるわけではない。ただ、ポートランドには行きたくなかった。だから僕を欲しがらなくてうれしかったよ」と、オフの狂想曲を振り返っている。そして、「ただ、コートに立てることが幸せだ。4月以降は手を骨折してプレーしなかったからね。もうプレーする準備はできている」と、今は純粋にプレーできる喜びを感じていることを明かした。

また、ヒートが彼抜きでファイナル進出を果たしたことによる重圧は感じていないと言う。「僕が怪我をし、チームはその後間違いなく躍進を遂げた。そのことで僕のプレーや価値について人々の見方が変わったかどうかはわからない。ただ、僕は何も変わっていない。悪くなった部分はまったくない。年を取って経験を重ねて成長しているだけだ。それに僕がいなくなったことで、チームが良くなったわけではないからね」

ヒーローは「僕はチームのベストシューターだ」と中心選手の1人であると自信を見せる。その言葉を証明し、高額年俸に見合う選手であると周囲に認めさせるためには、今シーズンこそレギュラーシーズン、何よりもプレーオフでチームを牽引する活躍が求められる。