貴重なベンチ要員として4年契約を勝ち取る

セルティックスが、司令塔のペイトン・プリチャードと4年総額3000万ドル(約45億円)で契約延長に合意した。

2000年にドラフト全体26位で加入したプリチャードは、今月末までに新契約を結ばない場合は、今シーズン終了後に制限付きフリーエージェントになるところだった。ただ、ここまでのプリチャードの出場機会は多くなく、昨シーズンは過去3年間でワーストとなる48試合平均13.4分出場の5.6 得点にとどまり、プレーオフでは10試合平均5.7分出場とローテーションから外れていた。

このような実績だけを考えれば、セルティックスはプリチャードに破格の契約を提示したと言える。だが、今オフセルティックスはマーカス・スマート、マルコム・ブログトンの司令塔を揃って放出し、ドリュー・ホリデーとデリック・ホワイトの先発コンビに次ぐガード陣の駒不足に陥っていただけに、プリチャードには大きな期待が寄せられている。

そんな中、プリチャードは契約延長が明らかになった直後の現地8日に行われた、プレシーズンゲーム初戦のセブンティシクサーズ戦でいきなり26得点、4アシストを記録。さらに現地9日のニックス戦でも21得点、5アシスト、3スティールを記録し、プレシーズンとはいえ、与えられたチャンスでしっかり結果を残している。

シクサーズ戦後、プリチャードは契約延長についてこう語った。「とても気分が良いよ。自分の立場をはっきりさせることができて、安心した気分だ。ボストンはNBAで最高の組織であり、街だと思っているからね」。そして、プレータイムの大きな増加が期待される自身の役割について、得点以外の部分でいかに存在感を出せるかを重視していると話す。

「(役割は)試合ごとに変わっていくだろうね。チームが求めることを何でもやるだけだ。もちろん僕は3ポイントシュートを決めてスペースを広げることができる。ただ、僕はエナジーを出し、細かいプレーで試合の流れを変えられるようになりたい。このチームでは得点を取れる選手が揃っている。常に試合に影響を与えられる方法を見つけないといけない」

また、「僕はこれまで常に出場できていたわけではない。だからこそ、他の選手たちをどう元気づけ、どう対処していければいいのか分かっている」と、経験不足な選手が多いベンチメンバーにおいてリーダー役も担っていく考えだ。

今オフの積極的なトレードにより、セルティックスはジェイソン・テイタム、ジェイレン・ブラウン、ホリデー、クリスタプス・ポルジンギス、ホワイトとリーグ随一の先発メンバーになった。しかし、この5人以外で主力の実績を残しているのは、37歳の大ベテランであるビッグマンのアル・ホーフォードのみ。長いシーズンを戦い抜くにはベンチメンバーの底上げが不可欠であり、プリチャードがどこまでステップアップできるかは特に大きな鍵となるだろう。