前半はA東京の高さ、後半は千葉のスピード
千葉ジェッツvsアルバルク東京の水曜ナイトゲーム。マッチアップゾーンが機能し、そこから走りに走った千葉が、第3クォーターを26-12と圧倒し、逆転勝利を飾った。
ピック&ポップからギャビン・エドワーズの3ポイントシュートで幸先よく先制した千葉だったが、A東京のフィジカルかつ統制されたディフェンスの前に、ターンオーバーを連発。菊地祥平のスティールからの速攻や、竹内譲次のスティールからアレックス・カークの3ポイントシュートを許すなど、ターンオーバーからの失点が相次ぎ0-10のランを浴びる。トランジションから石井講祐や小野龍猛の3ポイントシュートが飛び出すなど、千葉の得意な形も出たが、A東京はセカンドチャンスポイントをモノにし、主導権を渡さなかった。
第2クォーターに入り立て直すも、大野篤史ヘッドコーチが「ファストブレイクポイントで9点、セカンドチャンスポイントで10点、前半にそこで19点取られていたことが問題でした」と試合後に語ったように、制空権を奪われイージーシュートの機会を与えたことで再び突き放された。
だが、36-44と千葉が8点のビハインドを背負った迎えた第3クォーターに試合の流れが変わる。富樫勇樹がスティールから自ら速攻で得点して反撃の機運を作り、マッチアップゾーンの頻度を増やして24秒オーバータイムを誘発。A東京のオフェンスを停滞させ、何度もタフショットを打たせた。ディフェンスが機能することで、千葉のトランジションオフェンスが炸裂する。特に攻守に奮闘したマイケル・パーカーは、このクォーターだけで12得点2スティール2ブロックの大暴れ。パーカーが引っ張る11-0のランで逆転し、6点をリードして最終クォーターを迎えた。
ラスト3分で猛追したA東京、あと一歩及ばず
その後もマッチアップゾーンが機能した千葉が主導権を握り、小野龍猛の3ポイントシュートで76-64と点差を2桁に乗せたところでオフィシャルタイムアウトを迎えた。残り3分15秒には、パーカーのレイアップが決まり、この日最大となる14点のリードを奪った。
これで勝負あったかに思えたが、ここから腹をくくったA東京の怒涛の反撃が始まる。ザック・バランスキーの3点プレーとなるバスケット・カウントで点差を1桁に戻すと、残り1分にはカークの3点プレーも飛び出した。
立て直したい千葉だが、小島元基のプレッシャーの前に富樫がボールを失い、時間を進められない。残り12秒で3点差まで迫られた上に、ハーフコートからのスローインで痛恨の5秒バイオレーションを犯した。A東京は2点を選択し、馬場がドライブからダンクを叩き込みついに1点差と肉薄した。
残り5秒、富樫がファウルゲームで得たフリースローを1本落とし、千葉が2点のリード。タイムアウトを使い切っているA東京は、馬場が自陣からボールをプッシュし、マークを引きつけビエリツァにラストパスを送る。それでも逆転を狙った3ポイントシュートが決まらず、千葉が81-79と辛くも逃げ切った。
10連勝も「これが過信にならなければいい」
ギリギリで逃げ切った千葉だったが、大野コーチはチームの遂行力の低さに目を向け、辛口のコメントをした。「最後のところもタイムアウトを取って書いたことと違っていたり、ディフェンスのローテーションだったりと納得はできない。それをやった上で責任を取るのは僕でいいんですけど、遂行力という部分で気に入らない」
もちろん、敗れたA東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチも追い上げたことに満足はしていなかった。「第3クォーターがすべて」と敗因にフォーカスした。「集中力を欠いてフワッと入ってしまった。ターンオーバーから走られ、イージーバスケットを許した。千葉の勝ちパターンをやらせてしまった。特にターンオーバーとオフェンスリバウンドが敗因です」
また、「戦術ではなく、ターンオーバーとファストブレイク。リーグNo.1のオフェンス力を持つ千葉に簡単にボールを渡してしまったら、このような結果になります。ボールを失った、それに尽きる」と、最後までターンオーバーから試合が崩れたことを悔やんだ。
薄氷の勝利ではあっても、千葉はこれで今シーズン2度目の10連勝。それでも大野コーチは「今日は最後のサヨナラ3ポイントで負けるシチュエーションだったと思います。たまたま落ちたことで勝ちを拾っただけなので。これが過信にならなければいい」と勝って兜の緒を締めた。