チェット・ホルムグレン

チームの機動力を落とさずゴール下の弱点を改善できるか

シェイ・ギルシャス・アレクサンダーを中心に、2021年ドラフト6位指名のジョシュ・ギディ-、2022年12位指名のジェイレン・ウィリアムスとガードを複数並べたアンバランスなラインナップのサンダーは、プレーイン・トーナメントまで進むチームへと成長しました。今年のドラフトでも10位でガードのケイソン・ウォレスを手に入れており、チームカラーを重視したロスターでプレーオフを狙います。

サンダーの弱点はガードだらけのラインナップが示す通りのディフェンスリバウンドですが、だからと言ってディフェンス力が低いわけではありません。ハードに守れる選手を集め、個人のプレッシャーディフェンスに加えて、機動力を生かした早いローテーションで相手を追い込み、リーグで最も多くのターンオーバーを誘発させているチームです。

ゴール下の弱点を改善させるならば高さのあるセンターを加えるのが簡単な解決方法ですが、そこで機動力を落とすことになればチーム戦術は壊れることになります。スイッチやローテーションのスピードを失わず、それでいてリバウンドやブロック力のあるビッグマンの台頭が、サンダーがプレーオフに進むための条件ともいえるでしょう。

それはルーキーシーズンをケガで棒に振ったチェット・ホルムグレンと4年目を迎えるアレクセイ・ポクシェフスキーの仕事になります。ともに213cmを超える7フッターながら100kgに満たない細身の身体と、サンダーはビッグマンのチョイスも独特です。フィジカル面には期待できない一方でアウトサイドシュートも積極的に打っていくタイプで、オールラウンダーを揃えてポジションレスのバスケをするサンダーらしさに溢れています。

特にホルムグレンは大学時代に9.9リバウンドに加え、3.7ブロックという驚異的なスタッツを残しており、まさにサンダーに欠けているゴール下での活躍を期待したくなる存在です。今年のドラフト全体1位指名のビクター・ウェンバニャマ同様に、スキルとシュート力を持った7フッターとしてバスケの常識外のプレーでNBAに革命を起こせる存在としても注目されてきただけに、チームを劇的に変えることが期待されています。

他にもルーキーながらリーグ最多のチャージドローを記録したジェイリン・ウィリアムスもいて層はかなり厚くなってきました。ただ、動けるビッグマンはケガが多いのも事実で、運動量とハードワークを求められるサンダーの戦術では負荷も大きく、シーズン通して働けるのかは未知数です。ビッグマンがハマってチームが完成するのか、それとも再びガードだらけで戦うことになるのか、プレーオフ進出はビッグマンの活躍ぶりにかかっています。