Bリーグ

文=バスケット・カウント編集部 写真=野口岳彦、太田勝也、B.LEAGUE

鵤誠司、松島良豪、阿部友和、安藤周人、柏木真介

ワールドカップ予選が間に入る関係で、今シーズンのBリーグの日程は慌ただしいものとなっている。今年に入り天皇杯のファイナルラウンドとオールスターの間もリーグ戦は常に行われてきた。今日もオールスターが終わった直後だが、B1はミッドウィーク開催。全9試合が全国各地で行われる。どのチームも開幕からここまで32試合を消化し、全60試合のレギュラーシーズンを折り返した。シーズン前半戦を振り返り、それぞれのチームにポジティブなサプライズをもたらした選手を紹介したい。

鵤誠司/栃木ブレックス

チームの精神的支柱である田臥勇太が開幕6試合に出場した以降はケガでプレーできていない状況で、その穴を埋めたのが鵤誠司だ。ポイントガードのスタイルは田臥と大きく異なるが、強靭なフィジカルで違いを生み出す。特にディフェンスでは強烈なプレッシャーで相手を疲弊させ、栃木が目指す『ディフェンスからリズムを作るスタイル』にフィット。フィールドゴール成功率36.9%は改善の余地を残すものの、フィジカルのミスマッチを攻めることでオフェンスでも貢献している。また1番から3番までをこなすことで、チームの大きな支えとなっている。栃木で2年目のシーズン、安齋竜三ヘッドコーチのバスケットにフィットして存在感が増した。

松島良豪/レバンガ北海道

先発起用が増えてプレータイムが伸びたことで、スタッツは軒並み向上。特に1試合平均6.2アシストは並里成に次ぐリーグ2位の数字で(ただし出場試合数が規定に満たないジュリアン・マブンガが実質トップ)、先発した15試合に限れば平均7.3アシストとリーグトップクラスに躍り出る。平均得点がリーグ13位(73点)とオフェンス力に乏しいチームでこの数字は評価に値する。もともと視野の広さとバスケIQの高さを備えたポイントガードだが、今シーズンになって特にゴール下へのアタックなど守備を切り崩すきっかけを自ら作り出す積極性が増したことがアシスト増に繋がっている。あとは8勝24敗と振るわないチーム成績をどう上向かせるか。ポイントガードとしてはスタッツよりもチームを勝たせることが肝心だ。

阿部友和/富山グラウジーズ

これまでの富山は絶対的な存在である宇都直輝のフル出場に近い奮闘が前提となっていたが、長いシーズンを戦い抜くには信頼できる2番手のポイントガードが必要だった。そこにハマったのが阿部だ。展開に応じてゲームをコントロールし、激しいディフェンスで相手の流れを断ち切る阿部が繋ぐことでチームに安定感が出た。阿部個人も千葉ではディフェンス専任の印象だったが、富山ではオフェンスでも持ち味を発揮。3ポイントシュートの成功率は48.5%、平均16.5分の出場で平均6.5得点と効率の良いプレーが光る。シックスマンとして見事な働きを見せている。

柏木真介/新潟アルビレックスBB

シーホース三河でプレータイムを減らし、移籍した名古屋Dでは先発出場がなかった。全盛期を過ぎたベテランとして、経験を伝える役回りを受け入れたのかと思いきや、今シーズンは新潟で完全復活。五十嵐圭とのツインガード、2番的な使われ方が見事に機能し、老獪なプレーとここぞの場面でシュートを決める勝負強さが光る。ここまで欠場わずか3試合、平均30分近くのプレーと、「まだまだ第一線で通用する」どころか今がバリバリのパフォーマンス。新潟はここまで22勝10敗、混戦の中地区での首位キープに、柏木が大きく貢献している。

安藤周人/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ

3ポイントシュート成功数92は2位の富樫勇樹(73本)に大差を付けてのリーグ最多。1試合平均6.7本のアテンプトで43%の成功率と、リーグでトップクラスのシューターであることを証明している。また、3ポイントシュートを警戒する相手の裏を突くドライブからのフィニッシュも脅威となっており、2点シュートの成功率は61.1%と超高確率。得点ランキングでは日本人4位の平均14得点であり、オフェンス能力の高さをコンスタントに示している。オールスターのリーグ推薦から外れ、3ポイントシュートコンテストにも選ばれなかったが、名古屋Dのファンに限らず安藤のプレーは見たかったのではないだろうか。