ケネス・ファリード

写真=Getty Images

「嘘の情報を伝えられても、うれしくなんてない」

ネッツとの契約バイアウト後フリーエージェントになってロケッツと契約したケネス・ファリードは、契約した1月21日のセブンティシクサーズ戦で即デビューを飾り、ベンチから23分出場して13得点6リバウンドを記録した。チームは93-121で大敗を喫したものの、ファリードはトレードマークである豪快なダンクを決めるなど、今シーズン13試合目の出場を喜んだ。

ロケッツ加入から一夜明け、ファリードは、ネッツに対して持っていた不信感を明らかにした。

「(ネッツに)とても腹が立っていたんだ。『負傷者が出たら出場機会を与える』という話もあれば、『こういう状況になったらプレーさせる』の繰り返しだったからね。自分に出場機会を与えてくれるのか、それともプレーさせる気がないのか、ハッキリ伝えてもらいたいんだよ。チームにいてもらいたいのかどうか、それが知りたいんだ。自分は正直な人間だから、全てをチームのために尽くす。感情を身にまとっているような人間だからね。嘘の情報を伝えられても、うれしくなんてない」

昨年7月にナゲッツからネッツにトレードされたファリードは、プレーエリアがインサイドに限られる選手で、現代のNBAに完全にフィットしているとは言えない。それでも、ストロングポイントであるペイント内での存在感は圧倒的だ。しかし、ネッツでは十分な出場機会を得られなかった。ファリードは、ネッツ首脳陣の信頼を勝ち取れなかったことが、その原因だったと考えている。

「自分は、そう考えているんだ。信頼してもらえなかった。自分をプレーさせない理由を、遠回しに言われ続けたからね。だから、解決する方法が見つかったら、即行動に移そうという感じだった。僕は彼らの時間を無駄にしたくないのに、彼らに自分のキャリアを妨げられた」

ネッツに対して不信感を抱いたファリードだったが、ロケッツでは指揮官マイク・ダントーニの誠実な対応に心を動かされたという。

「マイクは、自分の顔を見て、『先発にはネネを起用するが、君に出場機会を与える。だからしっかり準備をしておいてくれ。もしかしたら、結構な時間プレーすることになるかもしれない。我々には君が必要なんだ』と言ってくれた。本音、真実を伝えてくれたから、彼をリスペクトしている。もし『今日の試合では必要ない。プレーさせる前に、チームのオフェンスに慣れてもらう』と言われていたとしても、納得したと思う。どちらにしても、彼の意見を尊重したと思う」

先発センターのクリント・カペラが右手親指の負傷により4〜6週間欠場するため、ファリードにはこれからも出場機会が与えられるだろう。人心掌握術に優れるダントーニの下、『マニマル(ManとAnimalを掛け合わせた造語)』が躍動する姿が見られそうだ。