オールスター

文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

1月19日のBリーグオールスターは盛況のうちに幕を閉じたが、先週も今週もリーグ戦はミッドウィーク開催が組まれており、『オールスターゲーム』はあっても『オールスターブレイク』はない。選手たちは『バスケの祭典』を楽しみながらも、ここからポストシーズンを見据えて加熱するリーグ戦をどこか意識していた。

オールスターゲームを終えたばかりのシーホース三河の金丸晃輔、琉球ゴールデンキングスの岸本隆一、富山グラウジーズの宇都直輝に、『バスケの祭典』の感想とリーグ後半戦に向けた抱負を聞いた。

金丸晃輔

金丸晃輔「3ポイント乱射に失敗しました(笑)」

B.WHITEでファン投票の最多得票を集めてキャプテンとなったシーホース三河の金丸晃輔は「いやあ、3ポイントを乱射しようと思っていたんですけど、できませんでした。3ポイントシュートコンテストで優勝してホッとしすぎて気が抜けたんかなって思いました。うまくプレーに集中できませんでした」と苦笑い。「タツヲも連れて来れずに申し訳ないです。あんなこと言って、期待してくれた方には謝るしかないです」と恐縮しきりだった。

思っていたような仕事は果たせなかったかもしれないが、3ポイントシュートコンテストの優勝は果たせたし、オールスターを楽しむことは十分にできた。「楽しかったです。いつも敵として戦う選手、普段できないメンバーとプレーできるのはシンプルに楽しいし、一緒にバスケットができて刺激になりました」

すぐにリーグ戦が再開する。三河はここまで16勝16敗の勝率5割と、常勝チームとしての期待に応えられていない。「これから後半戦、チームの調子がどんどん上がっていくように、僕もまた頑張らなきゃいけないと思っています」と、エースとして三河を引っ張ることを誓った。

Bリーグオールスター

岸本隆一「遠いところから1本決められて満足です」

琉球ゴールデンキングスの岸本隆一も、質問するまでもなく「楽しかった!」という表情を満面に浮かべてコートから引き上げて来た。「遠いところからの3ポイントシュートが僕には期待されているのかなと思ったので、狙っていました。今日は遠いところから1本決められて満足です」と語る。

実際、3ポイントラインのはるか手前、ハーフコートラインとの中間あたりから思い切り良く放った超ロングシュートを決めている。「バンクショットを狙ったわけじゃないんですけど、まあ入れば勝ちなので(笑)。入る道筋が見えたので、思い切って狙いました」

「今日は本当に良い時間を過ごさせてもらいました。この場に立てたのは何よりも日頃から応援してくれる方々のおかげです。その感謝の気持ちを、これからの後半戦でのプレーと結果で返していきたいので、気を引き締めてまた戦っていきたいと思います」

宇都直輝

宇都直輝「僕次第で富山はもっと良いチームになれる」

富山グラウジーズの宇都直輝は勝手知ったる富山市総合体育館でのプレー。「アップができなかったのでダンクは難しいと思い、アシストを狙うと言っていました。実際、水戸(健史)さんと(大塚)裕土にアシストできたし、中部第一の元チームメートの(張本)天傑にもアシストできたので、そういったところはすごく楽しかったです」とオールスターを楽しんだ様子。

富山は過去2シーズンは降格危機と戦ってきたが、今シーズンは18勝14敗と勝ち越しており、後半戦は初のチャンピオンシップ出場を目指しての戦いとなる。オールスターの盛り上がりをリーグ戦に持ち込むのが、富山の3選手にとっては共通の目的。宇都は個人として前半戦の出来に満足できておらず、自身の活躍でチームをさらに浮上させると意気込む。「チームはすごく調子が良いので、これに僕の調子が乗っかってくれば、さらに脅威になれると思っています。そのために自分もしっかり練習して、水曜日の新潟戦で1勝して波に乗りたい」

個人としての飛躍のきっかけは『ワガママ』になることだ。「阿部(友和)さんがコントロールしているので、僕が同じことをやっても仕方ない。僕としては、もっともっと積極的に行って、自分の良さ、これが僕のバスケットだというのをファンの皆さんや相手に見せ付けること。僕次第で富山はもっと良いチームになれると自分の中では思っています」

オールスターは楽しかったが、あくまで『お祭り』。明日からリーグ戦という『勝負』が再開される。オールスターで楽しみを提供してくれた選手たちが、真剣勝負の舞台に戻り気迫あふれるプレーを見せてくれることを期待したい。