「僕は塁を『ダニエルさん』と呼んでいる。つまり、僕がミスター・ミヤギだね」
レイカーズが2023-24シーズンに向けて始動した。トレーニングキャンプ初日の会見に応じたレブロン・ジェームズは、昨シーズン終了の時点で現役引退を示唆するような発言をしたことを問われると「あの瞬間は今とは違い、疲れ果てていたんだ。精神的にも疲弊していた。でも、ここに戻って来れて良かった。このチームを『約束の地』に連れていきたい」」と意欲十分だ。
19回のオールスター選出、4度のリーグMVPに4度の優勝、3万3652得点はNBA史上最多。そのレブロンはこれまでにも、多くのチームメートに自分の経験を伝え、成長に手を貸してきた。このオフには八村塁とパートナーを組み、一緒にワークアウトをして、様々なことを教えてきた。「塁とはずっと一緒にトレーニングしてきた。彼のポテンシャルはよく分かっていて、これは彼のためでもあり、チームのためでもある」とレブロンは言う。
「僕は塁を『ダニエルさん』と呼んでいる。つまり、僕がミスター・ミヤギだね」とレブロンは楽しそうに笑う。これは映画『ベスト・キッド』の主人公を模したものだ。気弱なダニエル少年が、マンションの管理人として静かに暮らすミヤギ老人と出会う。ミヤギは実は空手の達人で、ダニエルは彼に弟子入りして、空手を習って強くなっていくとともに『人生とは何か』を学んでいく。
日系人のミヤギは主人公のダニエルを日本語のさん付けで『ダニエルさん』と呼んだ。レブロンはこれに自分と八村を重ね合わせている。
もちろん、八村はこれを喜んでいる。レイカーズに加入してからずっと彼のワークアウト、特に3ポイントシュートの向上をサポートしているコーチのフィル・ハーディの意見をきっかけに、レブロンと一緒に夏を過ごすことを選んだ八村はこう語る。
「レブロンがここにいる時も、どこかに出かける時も、ずっとついて行こうとした。彼が僕を一緒に連れていってくれたのは本当に素晴らしい経験になった。コート上のことだけじゃなくコート外のことも、例えば身体のケアやウエイトルームでのトレーニング、バスケについてのいろんな話を彼から学んだ」
「シュートやボールハンドリングをたくさん練習したし、それは試合で僕のプレーを助けてくれると思う。レブロンのプレーもよく見たよ。ちょっとしたコツやポイント、フットワークをたくさん彼から学んだ。レブロンは僕と体型が似ていると言っていた。身体を使って自分の得意なエリアに行き、簡単にシュートを打つ。そういうことを彼からたくさん学んだ」
チームの始動に際し、八村は「メンタルも身体も準備はできた」と自信を持って言い切る。目標については「優勝はもちろん、それは絶対に変わらない」としつつも「個人としてはもっとアグレッシブにゴールにアタックできたらと思います」と語った。
現地10月7日からプレシーズンゲームが始まり、レギュラーシーズン開幕は現地10月24日。昨シーズン王者にして、レイカーズにとってはカンファレンスファイナルで敗れたナゲッツとの対戦から2023-24シーズンが始まる。