岡田大河

U19男子日本代表は今夏のU19ワールドカップにおいて過去最高となる8位の成績を残した。そのチームの中核を担った岡田大河がフランスのASモナコU21チームと契約した。モナコのトップチームは昨シーズンのフランスリーグで優勝し、ユーロリーグでも4位に入った名門。今シーズンはNBAのスターガードとして活躍したケンバ・ウォーカーも加入することで話題となった。オンライン会見に応じた岡田が新天地での飛躍を誓った。

「常に良い状態で練習ができています」

初めて触れたフランスのスタイルに向上心をかき立てられた。晴れやかな表情で臨んだ会見で岡田は「スペインと違うのは1対1の強度で、フィジカル的に強いです。能力的には劣っている部分が多いので、プレータイムを確保するためにも今シーズンはその部分の成長に力を入れてやっていきたい」と意気込んだ。

モナコはユーロリーグの対戦相手として見ていた。自身で調べていくうちに魅力を感じるようになったという。「すごく良いチームだと思っていたので、移籍は素直にうれしかったです。一つひとつの練習の強度も高いですし、常に良い状態で練習ができています」

岡田は新たな欧州のバスケを吸収できる期待に胸を膨らませている。フランス語はまだ勉強中だが、上達法は「とりあえず覚えたワードだけでしゃべりかける」ことだという。「そうすると相手も返してくれる」と言い、チームメートとのコミュニケーションを深めることもポイントガードの役割なだけに、こちらも上達を急いでいる。

海外で戦い続ける上で大事にしている言葉がある。「結局やるのは自分。ベクトルは常に自分に向けよう」。プロ選手だった父の卓也が常々口にしていた言葉だ。プレータイムがもらえない時、うまくプレーができない時にどれだけ自分に厳しく振る舞えるか。言葉も十分に通じない新たな環境だからこそ、日々自分に言い聞かせている。

岡田大河

世界を驚かせたA代表「自分が代表を目指す上で必要なことが分かった」

静岡県出身の岡田は中学3年の10月、15歳で海外留学を決断。「バスケIQを磨きたい」という理由でアメリカではなくスペインに渡った。 2019-20シーズンから昨シーズンまでスペイン4部のセントロ・バスケット・マドリードに所属し、U16、U18を経て若手中心のプロチーム昇格を果たした。「パスでゲームをコントロールする大事さを学んだ」いう岡田は、昨シーズンのアシストランキングで2位の成績を残している。

スペインでの4シーズン目を終えてフィジカル面も成長した。174cmながら、身体の大きな相手とのコンタクトにも慣れ「自分で守りきる回数もどんどん増えた」と手応えを感じている。 昨年は『バスケットボール・ウィズアウト・ボーダーズ』のアジアキャンプにも参加。「1対1での表現が足りなかった」と反省面を挙げたが、「パスやオフェンスを作る部分では他のプレーヤーとの違いを見せられた」と言うように活躍し、オールスターチームに選ばれ、今年の2月に開催された『グローバルキャンプ』への切符もつかんだ。

世代別の代表に名を連ねてきた岡田だが、A代表へのあこがれはある。今夏のワールドカップで日本は史上初の欧州勢撃破、大会最多の3勝を挙げてパリオリンピックの出場権を勝ち取った。岡田は歴史を作った今回の代表チームを見て多くを学んだという。「ヨーロッパのチームに勝つのは本当に簡単なことではないし、チーム力で上回ったと思います。役割がはっきりしていて、自分が代表を目指す上で必要なことが分かった。シュート力やディフェンスのアグレッシブさ。それにオフェンスでブレイクを出す日本らしいバスケットの中で頭を使っているなという部分が多かったです」

岡田は「これからも海外での活躍の場を切り開きたい」と言う。自身の実力を証明し、フランスで成功をつかむことに期待だ。