レブロンやカイリーとともに黄金期を支えたキャブズに復帰
トリスタン・トンプソンがキャバリアーズに戻って来た。2011年のNBAドラフトでキャバリアーズは全体1位でカイリー・アービングを、4位でトンプソンを指名。レブロン・ジェームズがヒートへと去り、東カンファレンス最下位に終わった前シーズンからのV字回復を期していた。
カイリーほどではないにせよ、トンプソンもルーキーイヤーから主力として活躍。2年目と3年目には82試合フル出場を果たし、4年目にはレブロン復帰が実現し、そこから4年連続でウォリアーズとNBAファイナルを戦うことになる。NBA優勝を果たした2015-16シーズンを筆頭に、そのすべてでトンプソンは主力としてチームを支えていた。
それでもキャブズの黄金期はレブロンとともに去った。レブロンが去った2年後の2020年に、トンプソンも9シーズンを過ごしたキャブズを離れた。
ここからのキャリアは苦難続き。セルティックス、キングス、ペイサーズ、ブルズと渡り歩くも結果を出せず、昨シーズンはついに契約がなくなった。3ポイントシュートを打たない彼は時代遅れの選手となりつつあり、ペイントエリア内だけでプレーするセンターとしては206cmとサイズが物足りないために、まだ32歳ではあったが評価を得られなかった。
シーズン終了間際に控えセンターを必要としていたレイカーズと契約を結び、プレーオフの5試合に出場したのが、昨シーズンの実績だった。オフになっても彼にオファーは届かない。それでもキャブズは、クラブ初の優勝に貢献した選手のことを忘れてはいない。ベテラン最低保証額ではあるが、トンプソンを3年ぶりに呼び戻した。
若いタレントがイキイキと活躍するキャブズで今のトンプソンが主力としてプレーするとは考えづらい。だが、キャブズはプレーオフのファーストラウンドでニックスに完敗を喫した。スキルがあってバスケIQが高くとも、若いチームには経験が足りず、レギュラーシーズンとは1段階も2段階もフィジカルなバスケになったことに対応できなかった。そこを補う選手として、トンプソンは価値を発揮できる。
トンプソンはまず、ゴール下の肉弾戦で今もNBAのトップレベルを張れる身体能力を維持していることを証明しなければならない。レイカーズでの数試合のプレーは素晴らしいものだったが、サンプル数が少ない。あのパフォーマンスを安定して発揮できるのであれば、平均10分でも継続的にプレータイムを得て、エバン・モーブリーとジャレット・アレンに『戦う気概』を教えられる。
そうでなければ? 彼の契約はベテラン最低保証額の320万ドル(約4億5000万円)だが、保証されているのは22万5000ドル(約3000万円)のみで、通用しないと判断すればすぐにカットできる。ここで解雇されれば、トンプソンのNBAキャリアはいよいよ終わる。トンプソンとしては、モチベーションには事欠かないはずだ。