「最下位なのは気に入らないけど、1年前に比べれば全然マシよ」
WNBAのスター選手、ブリトニー・グライナーは、2022年2月にロシアの空港で大麻オイル入りの電子たばこ用カードリッジを所持していたことで逮捕された。刑務所に収監されたグライナーは裁判で禁錮9年の実刑判決を受けて拘束され、解放されてアメリカに帰国したのは12月のことだった。
そのグライナーはWNBAに復帰したが、精神的な落ち着きを取り戻すための時間が必要だったし、膝のケガにも見舞われた。それでも地元ヒューストンでの復帰初戦で家族や友人たちの見守る中でコートに立つと、どのアリーナに行ってもファンの熱烈な歓迎を受けた。誰もがグライナーの長期拘束は政治的な理由があり、不当なものだと考えていたのだ。
そのグライナーのシーズンが終わった。17.5得点、6.3リバウンドというスタッツはこれまでよりやや低くなったが、長いブランクの間にどれだけ厳しい状況に置かれたかを考えれば十分なものだ。人々に歓迎され、コート上で力強いプレーを見せ、7月のWNBAオールスターにも選ばれた。WNBAのカムバック賞も受賞した。
ただし、彼女が所属するフェニックス・マーキュリーは9勝31敗でリーグ最下位。リーグはプレーオフに突入するが、彼女たちは一足早くシーズンを終えている。
「記録を除けば、良い感じ。自分の好きなことができて幸せ」とグライナーは言う。「ここにいてチームメートとバスケをするのは本当に楽しい。観客も温かく迎えてくれた。順位が最下位なのは気に入らないけど、1年前に比べれば全然マシよ」
今オフにはフリーエージェントになるが、マーキュリーを離れるつもりはない。「フェニックスは私の故郷になった。文字通り、私の家なんだ」。LGBTをカミングアウトしている彼女は、フェニックスでパートナーとともに暮らす家を購入したばかりだ。
ロシアでの一件があってから、彼女はもう海外には行かないと明言している。唯一の例外はオリンピックだ。グライナーは来シーズンもマーキュリーでプレーして、パリオリンピックに出場するつもりだ。