1985年大阪府生まれ。洛南高校、東海大出身。Bリーグのアルバルク東京に所属。双子の兄、公輔とともに高校時代から『日本の次代を担う逸材』と注目され、2006年に日本で開催された世界選手権に大学生ながら参加。207cmの長身ながら走力とテクニックを持ち合わせた万能選手として、日本バスケット界をリード。今年から岡田優介から引き継ぎJBPA会長に就任。
大河正明
1958年京都府生まれ。洛星高校、京都大出身。三菱東京UFJ銀行時代にJリーグに出向して総務部長を経験。2010年に銀行を退社し、Jリーグで常務理事などを務め、リーグの公益財団法人化やクラブの経営健全化に尽力した。2015年から日本バスケットボール協会専務理事・事務総長、Bリーグチェアマンとしてバスケ界で活躍。中学と高校時代はバスケットボール部。
全クラブの代表として、1分1秒、恥ずかしいプレーはできない
竹内 選手の側からすると、まずは感謝の言葉を言いたいです。2つのリーグがある中でFIBA(国際バスケットボール連盟)から制裁を受けて、僕たち選手は「1つのリーグで」という気持ちはあっても何かができたわけではなくて。そこで川渕(三郎)さんを始め、いろいろな方々にご尽力いただき、Bリーグという素晴らしい舞台を作ってもらいました。そのことに感謝しつつ、ここから先は選手が頑張っていかなきゃいけないと。
大河 「Bリーグができて今までと何が変わるのか」とよく聞かれるんですが、選手にとって一番の変化はサラリーキャップがなくなったことでしょう。経営的には大変だけど、まずそれを決めました。ただ、それは仕組みだけで、本当に選手が収入を増やしたいと思ったら、バスケットボール界全体の規模を大きくしないと。選手とクラブとリーグが一体となって、たくさんのお客さんに来てもらって、僕らの価値をもっともっと高めていかなきゃならない。そういう意味で、みんなが注目して、ワクワクするようなバスケットボールを選手の皆さんに見せてもらいたいんです。
竹内 本当にそうですね。開幕戦を戦えたのは僕たちにとって光栄なことでした。それと同時に全クラブの代表として、1分1秒、恥ずかしいプレーはできないな、と。今までバスケに触れてこなかった人たちは、何かのきっかけで見たその瞬間に素晴らしいプレーが出れば、それからも見てくれると思うんです。逆にそこで怠惰なプレーを見てしまったら、それまでですよね。
選手を商品と考えて、その商品価値を高めていく
大河 頼もしいね(笑)。バスケットは世界で4億5000万人と言われるほど競技人口が多くて、日本でもトップクラスですよ。みんなが親しんでいるスポーツだから、ファン層が広がらないはずはない。今までいろんな問題があったのかもしれないけど、過去は振り返らず未来志向でやっていきたいね。
竹内 選手側としてはコートの上で質の高いプレーを見せるのはもちろんですが、まだ野球やサッカーほど世間に認知されているわけではないので、SNSを活用して選手個人の認知度を高める、選手を商品と考えてその商品価値を高めていく、ということを個人単位で考えたいです。そしてクラブはクラブで、所属選手をPRしてもらいたい。リーグに求めたいのは、それ以上の大きなPRですね。
大河 僕はよく空中戦と地上戦と言うんだけど、リーグはテレビの放映を付けたり、パートナーを集めたり、プロモーションをしたりだとか、一生懸命『空中戦』をやっています。地域の方々と面と向かってやっていく『地上戦』をやるのはクラブであり選手ですよね。竹内選手で言えば、渋谷や府中市でいろいろな活動をして、バスケットファンはもちろん、バスケットを知らない人にも興味を持ってもらえるよう頑張ってもらう。僕らリーグもまたそれを活用してPRをどんどんやっていきますよ。これは息の長い仕事としてやっていきましょう。
「頑張ってプロになって良かった」と思えるような待遇を
竹内 リーグが新しくなってすごくありがたいのは、「プレーヤーファースト」で考えてくださっていることです。サラリーキャップにしても、選手会として初めて川淵さんにご挨拶した時点で「サラリーキャップなんて絶対に認めないよ」という話をしていただいて。
大河 そうそう(笑)。
竹内 サラリーの縮小をまず考えるのが今までのやり方だったと思うんです。だけど川淵さんはプレーヤーファーストで考えてくださって、それがすごく印象深いんです。ありがたいと思うのと同時に、野球とサッカーに並ぶプロスポーツになっていくんだ、という強い決意を感じました。
大河 いつも言っているように、僕は早く1億円プレーヤーを出したい。サッカーは1チームの選手が30人強で、J1クラブの平均収入が30億強です。単純に割ると選手1人が1億。バスケットボールは1チームに12人か13人しかいないから、クラブの売上が10億から15億になってくれば1億円プレーヤーが出る可能性は十分にあります。バスケットボールのプロ選手になって、日本代表とかそれに準ずるレベルの選手になることは、東大に入るより難しいわけでしょう。そういう人たちが「頑張ってプロになって良かった」と思えるような待遇をもらえないのでは、それはプロと呼べないと思います。それをプレーヤーファーストと直接呼べるのかどうか分からないけど、そのために僕らは僕らの、選手は選手の努力すべきことをやっていきたい。
竹内 僕たち選手会としては、これまでは震災があった地域でのチャリティイベントをずっと開催していて、そういった活動は今後も続けていくつもりです。今年からBリーグで一つになったということで、旧bjリーグのほとんどの選手が加入してくれました。今年はまず新しい選手の意見も取り入れて足並みを揃えて、これから何ができるかを決めていきたいと思っています。
大河 震災復興もそうだし、いろいろな社会貢献活動もそうだし。いろいろやっていきたいですね。バスケットとは直接関係ないようなところに焦点を置いても、それを選手が発信してくれるのは大きい。そういったことを今後、選手会とうまく進めていきたいです。
竹内 リーグとして「選手会の意見を取り入れていきたい」、「選手側がどう思っているのかを知っていきたい」と言っていただいているので、意見交換の機会を持って良好な関係を築いていきたいです。
ポジティブなニュースがスタンダードになるように
大河 昔の話をすると、『スラムダンク』が大人気でバッシュが流行した時期がありました。その頃、バスケットボールは人気があった。Jリーグができてしばらくの頃なんだけど、それを生かせなかった。その後に田臥勇太選手がNBAに行ったり、世界選手権を日本で開催したにもかかわらず、足の引っ張り合いみたいなことでうまくいかなかった。バスケット界って失敗の積み重ねなんです。それだけに、選手も僕らも「今回失敗したら本当に後がない」と思っている。それで同じ方向を向いて成功させたいという気持ちが、より強くあるんじゃないかと思います。
竹内 やはりバスケットボール界では、良いニュースではなく悪いニュースばかりが取り上げられてきたという印象が強いです。今はBリーグの誕生というポジティブなニュースを取り扱ってもらっているので、それがスタンダードになるよう選手も頑張らないといけないです。そのための舞台は作っていただいたので、ここからはクラブと選手がどうやってBリーグを成功に導いて、日本のバスケットボール界を発展させていくのか、考えていきたいですね。
大河 選手会が自分たちの権利を主張するのは当然です。ただ、それを我々リーグもクラブも対立軸ではなくて、選手あってのクラブでありリーグなんだから、そこがお互いにWin-Winになって発展していけると信じています。こうやって本音で話していくことが一番大事だと思いますね。
竹内 おっしゃる通りです。今日はありがとうございました。
一般社団法人日本バスケットボール選手会は、日本バスケットボール界の普及・発展、ファンコミュニケーションの拡充、バスケットボール選手を取り巻く環境の改善、スポーツを通じた次世代の育成、社会貢献活動の推進を目的として活動しています。活動に賛同し、ご支援いただける賛助会員を募集しています。
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一般社団法人日本バスケットボール選手会の新会長に竹内譲次選手が就任する事になりました。また、合わせて副会長・監事が就任して、新体制として今まで以上に日本バスケットボール界の発展に寄与できるように活動を推進して参ります。
[会長]
竹内譲次(アルバルク東京)
[副会長]
伊藤大司(アルバルク東京)
小林慎太郎(熊本ヴォルターズ)
小林大祐(ライジングゼファーフクオカ)
篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)
田口成浩(秋田ノーザンハピネッツ)
橋本竜馬(シーホース三河)
[監事]
朝山正悟(広島ドラゴンフライズ)
網野友雄
鵜澤潤(ダイヤモンドドルフィンズ名古屋)
岡田優介(京都ハンナリーズ)
小野元
柏木真介(シーホース三河)
國井隆(公認会計士/オフィス921)
長嶋憲一(弁護士/東京21法律事務所)
竹内譲次会長コメント
この度、新会長に就任することになりました。B.LEAGUEが誕生して、バスケットボール界が注目されている中、日本バスケットボール選手会の会長として今まで以上にバスケットボール界の発展に寄与していきたいと思っております。リーグ、選手、ファンの皆様で共に素晴らしいバスケットボール界を築いていきましょう。引き続き選手会の活動にご協力頂けますと幸いです。
岡田優介前会長コメント
今から3年前、選手たちが自発的にバスケットボール界の将来を考え、「日本のバスケットボールをもっとメジャーにしたい」という想いからこの選手会は発足し、その理念に基づき活動をしてまいりました。この度、B.LEAGUE開幕という大きな転換点を迎えますが、竹内譲次新会長のリーダーシップのもと、新たな世代と一緒にバスケットボール界の普及発展に務めてまいります。今後とも日本バスケットボール選手会へのご理解とご協力のほど宜しくお願い申し上げます。