消化試合の最終戦にベストメンバーで快勝「チームとして大会を終えることは大切だ」
FIBAワールドカップ2023では、ここまでいろいろな波乱が起こっている。その中でもフランス、スペイン、そしてオーストラリアの2次ラウンド敗退は大きな驚きだった。今回のオーストラリアは東京五輪で銅メダルを獲得した主力のベテラン勢に加え、今大会がFIBA世界大会デビューとなったジョシュ・ギディー、ジョシュ・グリーンと若手を融合させたチームで臨んだ。大会直前の練習試合で負傷した先発センターのジョック・ランデールが大会を欠場したのは大きな痛手となったが、彼の不在以上に大きかったのはチームとしての成熟度だった。
今大会、オーストラリアはグループリーグのドイツ戦、2次ラウンドのスロベニア戦ともに、立ち上がりに2桁のリードを許し、そこから盛り返すも届かずという同じ展開で敗れた。特に、ハーフコートオフェンスにおけるベテランと新しいメンバーの連携不足が目立った。そして、2次ラウンド2試合目でスロベニアに敗れたことで、ベスト8進出を逃しこのラウンドでの大会終了が確定。最終戦のジョージア戦は完全なる消化ゲームとなったが、それでもベストメンバーで戦い100-84と圧勝した。
この試合、約30分出場で19得点5アシストを挙げたチームリーダーのパティ・ミルズは、勝利の意義をこう強調する。「この勝利はとても重要だ。もちろん大会を通しての結果は失望するものだったが、僕たちにとってはチームとして戦い大会を終えることが大切だったからだ。パリ五輪で金メダルという目標に変わりはないからね」
ミルズは今大会、チームの連携不足を感じることが多かったと振り返る。「オールコートにおいて僕たちはサイズ、身体能力がある。ただ、ハーフコートでは一緒にプレーする経験を重ねないといけない。(今回のチームが始動した)6週間前から今も、若い選手を加えた新しいチームを作っている途中だ」
また、次のように収穫も挙げている。「多くのポジティブな部分もあった。ここからジグソーパズルを組み合わせ、チームにフィットさせる方法を探す。多くの選手たちがインパクトを与えるプレーを見せた。そしてこのチームで最も素晴らしいのは、みんなオーストラリアを代表して戦うことに情熱を持っているところだ」
結果が示すように、今回のオーストラリアにはいろいろな課題が出ている。ただ、それでもオセアニアの1位となりパリ五輪の出場権獲得という最低限のノルマを達成したことは大きい。ミルズは語る。「僕たちにとってポシティブなことはパリ五輪まで10ヶ月あること。そして6週間前から始まったチーム作りの基礎を生かしながら、パリに向けて強く発展させていけることだ。これで今回のチームは解体されるけど、すぐに再び集結して目標であるパリ五輪へチーム一体となって戦っていくよ」
ミルズは「まだ、自分たちのベストを見せられていない」と今大会を総括しているが、果たしてパリ五輪にはそれが可能となるのか。世代交代の過渡期におけるチーム作りの難しさに屈したオーストラリアが、来夏の五輪で復活を果たせるのか注目だ。