ピンチをチャンスに変え、堅守で主導権を握る
皇后杯準決勝の第1戦、トヨタ自動車アンテロープスがデンソーアイリスに71-60と完勝し、明日のファイナルへと駒を進めた。
立ち上がりに優位を作ったのはデンソーだった。髙田真希と赤穂さくらのインサイドに強みがあることに加え、ガードの伊集南も思い切りの良いアタックでチームに勢いを与える。これで髙田とマッチアップする馬伊娜が開始5分で個人ファウル2つに。トヨタ自動車としては先発センターをベンチに戻さざるを得ないピンチだったが、意外にもこれがチームにプラスに働いた。
髙田のマークにつくことになった長岡萌映子がボールを持たせないディフェンスを見せ、馬に代わって入った馬瓜ステファニーがリバウンドで奮闘することでデンソーの勢いを止めると、三好南穂の作り出すハイテンポなオフェンスから馬瓜エブリンが第1クォーター10得点を稼ぎ出す。第2クォーターに入り髙田の強引なアタックからのバスケット・カウントなど反撃を浴びる場面もあったが、その髙田が前半のうちに個人ファウル3つとなり、デンソーは勢いに乗れない。
デンソーの絶対的なエースである髙田に対し、トヨタ自動車は徹底マーク。オフボールでは長岡が激しい寄せで容易にボールを持たせず、ポストプレーでボールを入れさせても素早く囲い込むことでリングに向かわせない。髙田を激しく守ることでファウルはかさんだが、前半で髙田に与えたフリースローは1つだけ。アタックさせないディフェンスが機能していた。
苦しいデンソーをさらにアクシデントが襲う。伊集が足首を痛めて後半はプレーできなくなったのだ。そんなデンソーに対してトヨタはエブリン、長岡、三好と3ポイントシュート連続成功で47-32と一気にリードを広げた。シュートタッチの良さもあるが、ミスマッチを突いたり、ファウルトラブルで強く当たれない相手を狙うしたたかさがあり、またブレイクも出るようになって得点を重ねていく。
三好南穂、決勝に向け「気持ちで負けないように」
第3クォーター終盤、長岡がマークにつく髙田がゴール下でのアタックした際に個人4つ目のファウルをコールされる。その後も髙田はコートに立ち続け、粘り強く戦ってゲームハイの23得点を記録したものの、攻守ともに本来のプレー強度を出せなかった。エースが封じられた状況でオコエ桃仁花や田村未来、赤穂ひまわりといった若手は思い切りの良さを出すことができない。また大量ビハインドを覆すには3ポイントシュートが欲しいところだが、この試合では13本放って成功わずか1本と不発。反撃に出るも勢いが足りず、60-71で試合終了となった。
トヨタ自動車を率いるイヴァン・トリノス・ガルシアは「平均で70点から80点を取るデンソーを61得点に抑えたのはディフェンスが良かったから」と堅守で手にした勝利であることを強調。キャプテンの三好も「髙田選手が軸になるのは分かっていて、1人ではなく5人で守れたのが良かった」と勝因を語る。
決勝はJX-ENEOSサンフラワーズと富士通レッドウェーブの勝者との対戦。三好は「プレーももちろんなんですけど、どちらが勝ちたい気持ちが強いかが勝敗にかかわってくるので、気持ちで負けないようにしたい」と意気込んだ。
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