「ルカの多彩な能力によって私たちは様々な形でアドバンテージを作り出せます」

FIBAワールドカップ2023大会4日目の8月28日、グループFのスロベニア代表はジョージア代表との欧州対決に88-67で快勝した。これでスロベニアは、初戦のベネズエラ戦(100-85で勝利)に続いて勝ち星を挙げ、2次ラウンド進出に大きく前進している。

ベネズエラ戦で37得点7リバウンド6アシストを記録したスロベニアの大黒柱ルカ・ドンチッチは、ジョージア戦では第1クォーターだけで11本のフリースローを獲得し(うち8本成功)12得点と幸先良くスタート。試合全体で34得点10リバウンド6アシストを挙げ、2試合続けて圧巻のパフォーマンスを見せた。

スロベニアは2試合ともに、互角の展開で第1クォーターを終えている。だが、試合が進むにつれてドンチッチが支配力を発揮し、試合残り5分の段階でセーフティリードを奪う危なげない展開で逃げ切っている。その圧倒的なスタッツから、周囲は当然のようにスロベニアを「ドンチッチの存在ありきで成り立っているチーム」と見る。実際、スロベニアは2試合ともドンチッチのスーパープレーで流れを引き寄せ勝利を手繰り寄せていることは間違いない。しかし、スロベニアのアレクサンダー・セクリッチヘッドコーチは、ドンチッチのワンマンチームという見方を否定する。「ルカの多彩な能力によって私たちは様々な形でアドバンテージを作り出せます。そうして相手の弱点にアタックしていきます」

セクリッチヘッドコーチはこの試合、ドンチッチのポストアップを起点としたオフェンスで突き放した場面について聞かれ、このように語っている。「ルカはポストアップをし、相手のビッグマンのところから崩していけると感じた。ここで生まれたアドバンテージを生かすことができました。ただ、もっとも大事なことはあの状況で、コートにいた5人全員が同じ考えを共有していたことです。みんなでルカを助ける。そして他の4人はルカのおかげでシュートを決められます」

ドンチッチの傑出した実力を最大限に生かすためには、チームがひとつにまとまることが何よりも重要となる。今大会スロベニアは、この肝となる部分を確実に遂行することで、危なげないスタートを切った。