レバノン代表

カナダ、ラトビア、フランスを相手にサプライズを起こせるか

レバノンはFIBAランキングは43位と今大会に出場するアジア勢の最下位ですが、昨年のアジアカップで2位、ワールドカップ予選でもニュージーランドに次ぐグループ2位で出場権を得るなど、オセアニア勢を除けば近年のアジアにおける最強国と言えます。日本との対戦がなく馴染みのない国ですが、アジアで最も勢いがあります。

レバノンは、アジアカップの得点王、MVPとなったワエル・アラクジのチームと言っても過言ではありません。身体能力の高さではなくスクリーナーを巧みに使いながらディフェンスと駆け引きし、コンタクトしながらも決めきるシュートスキルの高さで得点を量産します。予選ではジョーダン・クラークソンとスコアリングファイトを繰り広げ、残り16秒に決めた3ポイントシュートでチームに勝利をもたらすなど、勝負強さも光るアジアのエースです。

今大会のレバノンはカナダ、ラトビア、フランスが揃う『死のグループ』に入りました。アジアの大エースはシェイ・ギルシャス・アレクサンダーやエバン・フォーニエといったNBAのエースたちと得点で競うことになったのです。アラクジにとってはルーゲンツ・ドートやルディ・ゴベアといったディフェンダーとの勝負が待っており、タフな試合が続くことが予想されます。

アジアのトップチームとして存在感を示したかったレバノンにとっては、1勝を挙げることすら難しいグループとなりましたが、その中では高いシュート能力を武器にしたオフェンス力で勝負してくるラトビアとの初戦に照準を絞りたいところです。シュート能力ではラトビアに分がありますが、時にアウトサイドシュートは水物となるだけに、アラクジの持つ多彩な得点パターンで上回るチャンスがあります。

アラクジは恐怖を意味する『フィアサム』の異名を持ちますが、その名の通り、世界の強豪へ恐怖を覚えさせることができるのか。今回のワールドカップはアラクジ個人にとってもレバノンというチームにとっても最大の挑戦となるだけに、サプライズを巻き起こしてアジアのバスケットを盛り上げて欲しいところです。