「みんなNBAのタイトルに注目するけど、それ以上に素晴らしい人間なんだ」
グレッグ・ポポビッチのバスケットボール殿堂入りを機に、NBAコーチ協会が同業者たちのコメントを集めた動画を公開している。この中でスティーブ・カーはコーチ・ポップを「私の師匠であり、我々全員にとってのリーダーだ」とし、「彼が選手をどう扱い、メディアにどう対応するか、そして社会問題や社会正義への取り組みを、このリーグのコーチ全員が見てきた。私個人にとっても、人生に最も影響を与えた人の一人だ」と語る。
リック・カーライルは「NBA史上最も偉大なコーチだよ。彼のチームは、コーチングも技術も、何もかもが進化したNBAの時代に合わせて進化していった」と、ドウェイン・ケーシーは「我々はみんな彼を模倣する。ポップは我々にとって信じられないお手本なんだ」と言う。
ジェイソン・キッドは「私がポップから得た最大の学びは、彼は人間であり、人々を愛して配慮を欠かさないことだ」と話す。「彼は一緒に働く人に、勝ち負けだけでなく一人の人間として配慮してくれる。自分の成功だけでなく、周囲の人々の成功を願っている。今も彼と話す機会があれば意見を求めるし、彼は率直なアドバイスをくれるよ」
エリック・スポールストラは彼の人間性を語る。「彼が最もすごいのは、誰をも自分が重要だと感じさせる術を知っていることだ。食事に行けば、レストランにいる人すべてに自分を大切な存在だと感じさせる。彼は我々コーチにも、そのような影響を与えてくれた」
続いてはモンティ・ウィリアムズ。「トレードで彼のチームに行った1997年から、現役選手としても今のコーチとしても、私にとって彼は父親のような存在となった。彼にはたくさんのコーチから相談の電話がかかってくる。NBAのコーチだけじゃなく、ディビジョン3や大学のコーチからもね。スパーズだけじゃなく、そのすべてが彼のファミリーなんだ」
マイク・ブラウンは、ポップのアシスタント時代の印象的な出来事を語る。「私は離婚を経験し、つらい時期を過ごしていた。当時3歳と5歳の息子が私の住むサンアントニオに来て数日を過ごし、私は遠征へ、子供たちは元妻のところへ戻るために空港に向かった。空港に着くと子供たちが涙を流し、私も泣きながらポップに『子供たちを飛行機に乗せるところだから数分遅れる』と電話したんだ。そうすると彼は『君はここに残れ。チームと一緒に飛行機に乗ったらクビだ』と答えた。あの時の私も子供たちも、それを必要としていたから本当に助かった。彼はそうやっていろんな人の人生を助けているんだ」
ウィル・ハーディは「私にとって彼はすべてだ」と言う。「彼の下で働くインターンが、一緒にベンチに座って議論できるようになったのが信じられない。スパーズで彼から11年間学んだことが今の私の基礎だ。サンアントニオで彼の近くにいられることは、本当に特別なんだ」
イメイ・ユドカは「彼からはバスケ以外のこともたくさん学んだ」と語る。「人間関係のスキルはすごく大きい。彼は常に説明責任を果たし、規律正しく行動できる偉大な人間だ。何年も一緒に過ごして得た仲間意識が、コーチだけじゃなく人間としての私を育ててくれた。彼は素晴らしいコーチだし、みんなNBAのタイトルに注目するけど、それ以上に素晴らしい人間なんだ」
コーチたちの証言から分かるのは、ポポビッチが優れたコーチであるだけでなく人間性豊かな人物で、スパーズだけでなくNBA全体に、バスケ界全体に大きな影響を与えていることだ。彼は74歳になったが、これからも自分らしいスタイルで良い影響を与え続けていく。