文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

課題のディフェンスが機能し、主導権を握った横浜

横浜ビー・コルセアーズvs名古屋ダイヤモンドドルフィンズの第1戦。横浜は第4クォーターにこの日最大となる10点ビハインドを背負うも、脅威的な粘りで延長に持ち込んだが、延長ではわずか2得点と失速し、99-106で敗れた。

立ち上がりは川村卓也の3ポイントシュートで先制した横浜が先手を取った。強度の高いディフェンスでズレを作らせず、クレイグ・ブラッキンズからオフェンスファウルを誘発。エドワード・モリスがインサイドへのパスをスティールするなどディフェンスが機能した。オフェンスではプリンス・イベの高さを生かした連続アリウープでリードすると、アグレッシブにシュートを放つブランドン・コストナーが内外から12得点を挙げ、22-15とリードした。

第2クォーターに入ると、昨シーズンまで横浜に在籍した満田丈太郎に難しいレイアップを連続で決められ1点差に詰め寄られたが、モリスがマーキース・カミングスとの1対1を制し、田渡凌がトランジションから連続得点を挙げるなど、逆転を許さず46-42で前半を終えた。

名古屋Dの梶山信吾ヘッドコーチは「横浜のスイッチディフェンスに対応できず、オフェンスのリズムが悪くなって、ディフェンスもソフトになってしまった」と前半を振り返った。それでも「うまくできているところをもっとやろうと話し、後半からオフェンスは改善された」と言うように、後半から名古屋Dが反撃する。

脅威の粘りで10点ビハインドを覆し、延長戦へ

名古屋Dはカミングスを強調するだけでなく、リングへのアタックを意識することで、内外バランスの良いオフェンスを展開。その結果、シュートセレクションが良くなり、5本中4本の3ポイントシュートを成功させた。カミングスが13得点、ブラッキンズが10得点を挙げるなど、32点の猛攻で逆転に成功する。

横浜も高いオフェンス力で食らい付くも、オフェンスを牽引してきたコストナーが4つ目のファウルをコールされベンチに下がったことで勢いを失う。最終クォーターに入っても、カミングスやブラッキンズのインサイドを止められず、ヘルプに行けばパスをさばかれ外から射抜かれるなど、名古屋Dのペースが続く。残り6分、ブラッキンズの2本のフリースローで、横浜はこの日最大となる10点のビハインドを背負った。

だが、横浜はここから驚異的な粘りを見せる。4ファウルで後がないコストナーが2連続3点プレーとなるバスケット・カウントを奪って勢い付き、一気に逆転まで持っていく。ただ、そこで押し切ることはできず、その後は互いにリードチェンジを繰り返す混戦に。残り29秒に田渡凌のロング2ポイントシュートで97-96と逆転するも、リードを守ることができず延長戦へ突入した。

敗れても収穫「良い成長に繋がるゲームだった」

結果から言えば、延長戦での横浜は2-9と失速して力尽きた。横浜を指揮するトーマス・ウィスマンが「オーバータイムに入って外国籍選手を1人欠く状況でした。オープンな3ポイントだったり、決めるべきシュートを決めていれば、同点に持っていける場面もありました。コストナーがいない中、イベがインサイドでの得点源だったが、彼はそこまで得点ができる選手ではない。やはり中で点数が取れないとなると外から打つしかない。そこの外のシュートが入らなかった」と振り返ったように、延長戦へ導いたコストナーが第4クォーターにファウルアウトした影響は大きく、外一辺倒になったことで確率の差が勝敗を左右した。

それでも、第4クォーターで崩れなかった粘りをウィスマンコーチは高く評価した。「一時は10点ダウンになったが、そこから立て直した。その前にディフェンスのミスが目立った部分もあったが、それでも試合を立て直し、最後までどうなる分からない試合が展開できた。良いゲームになったし、良い成長に繋がるゲームだった」

横浜はカミングスに40得点を奪われたが、新戦力のコストナーも39得点を挙げ、最後までどちらに勝負が転ぶか分からない好ゲームを演じた。それだけに修正力が問われる今日の第2戦、昨日のパフォーマンスがフロックではなかったことを示したい。