「相手チームだってもちろん、意味あるビジネスにしなきゃならない」

デイミアン・リラードはトレイルブレイザーズにトレード要求を突き付けた。『チームの顔』として長くポートランドを象徴してきた彼は、ヒートへの移籍を望んでいるが、ブレイザーズは十分な見返りが得られない限りはトレードには応じない構えで、膠着状態が続いている。

この状況にヒートのバム・アデバヨがコメントした。マイアミでのチャリティーイベントに出席した彼はこう語る。「何が起こるかは予想できない。これはビジネスであり、誰もが意味のあるものになることを望んでいる。相手チームだってもちろん、意味あるビジネスにしなきゃならない。僕らにとっては両チームの合意を待つしかない」

NBAファイナルに進出したヒートにとって、リラード獲得と引き換えに今のコアメンバーを解体するのはナンセンスだ。ジミー・バトラーやバム・アデバヨを手放すという選択肢はなく、ロールプレーヤー数人とのトレード以外は受け入れがたい。すでに状況はブレイザーズがどこまで譲歩するかだが、いまだその姿勢は見えない。

ブレイザーズのリラード評価はクラブ史上最高の選手であり、リーグでも屈指のスコアラーだが、ヒートはリラードにそこまで思い入れがない。ドライなビジネスとしての獲得を望んでおり、『ロマン』の分だけブレイザーズとは隔たりがある。

アデバヨはヒート内部でリラードを最も評価している一人だ。2人はかつてチームUSAで一緒にプレーして友情を育んだ。例えば同じヒートでもユドニス・ハズレムは「僕はタイラー（ヒーロー）との付き合いが長いから、この状況にはコメントしづらい」と語っているが、アデバヨは率直にリラードに来てほしいという気持ちを語る。

アデバヨは言う。「歩き方とか話し方、自分の見せ方とか声が大きい方じゃないとか、僕とデイム（リラード）には似た特徴がいくつもある。オリンピックでの僕らは上手く嚙み合った。性格的にもすごく落ち着いた2人だ」

リラードもアデバヨもプレーエリアが広く、柔軟なプレースタイルの持ち主で、ここに阿吽の呼吸が成り立てば強烈な武器になる。アデバヨは代表チームで見せたその武器を、ヒートでも使いたい。トレード成立まで長すぎる時間を要しているが、いずれ機は熟すとアデバヨは達観して『その時』を待っている。