ケイド・カニングハム

「心身ともに来たるべきシーズンに向けて準備万端にするのが狙いだった」

アメリカ代表のトレーニングキャンプ2日目、若手中心のセレクトチームが練習試合で代表チームに勝った。その中心にいたのはピストンズのケイド・カニングハムで、スティーブ・カーから依頼された『仮想ルカ・ドンチッチ』の役割を演じながら、ポイントガードとしてプレーメークしつつ、自らも効率良く得点を奪った。

これを目の当たりにしたメディアの誰もが「代表は大丈夫か?」と感じ、「カニングハムをワールドカップに連れていくべきでは?」と思った。

アメリカ代表のヘッドコーチ、スティーブ・カーは「代表は大丈夫か?」との疑念に「素晴らしい才能を持つ選手が、あらゆる方法で代表チームに挑戦する。セレクトチームがそうやって成果を出してくれてうれしい」と言い、「グラント・ヒルとボビー・ハーリーの話は知っているだろう? 前回のワールドカップでも、オリンピックの前にも同じことは起きた」と続けた。

1992年のバルセロナオリンピックでは、マイケル・ジョーダンを筆頭とするNBAのスター選手で構成された『ドリームチーム』が圧倒的な強さで金メダルを獲得した。そのチームを唯一負かしたのが、トレーニングキャンプ初期に当時デューク大だったヒルとハーリーを含むセレクトチームだった。東京オリンピックの前にも、タイリース・ハリバートンが同じようにセレクトチームの中心として、代表を打ち負かしている。

「そう、これがUSAバスケットボールの伝統なのさ。代表チームはこれから調子を上げていくから問題ない」とカーは笑顔で語った。

セレクトチームはラスベガスでのトレーニングキャンプの間だけの活動。2021年のNBAドラフトの全体1位指名選手であるカニングハムは、2年目の昨シーズンは開幕から1カ月もたたずに左すねの手術に踏み切り、12試合にしか出場しなかった。「カニングハムをワールドカップに連れていくべきでは?」との疑問は、カニングハム自身が「負荷とケガのコントロールをしなきゃいけないから」と否定した。

カニングハムは言う。「代表となれば移動も練習も多い。僕としては心身ともに来たるべきシーズンに向けて準備万端にするのが狙いだった。代表に加わってもリハビリがあったり、チームの活動すべてに参加できないのはマズいよね。代表では全員が100%の準備ができていないといけない。だから僕は代表チームじゃなくセレクトチームに加わったんだ」

「新シーズンは健康を維持して、ずっと試合に出続けたい。ピストンズのトレーナーやスタッフに相談したら、この時期に高い負荷を一度経験するのは良いと判断してくれて、セレクトチームに参加できるようになった。素晴らしい才能を持った選手、それでいて見知った顔ぶれに囲まれて、自分をきっちり追い込む良い練習ができた。この機会を得られたことへの感謝は忘れないようにしたい」