吉田真太郎

オフシーズンの移籍市場において、群馬クレインサンダーズが辻直人とコー・フリッピンを獲得したニュースは大きな衝撃を与えた。群馬は新アリーナも完成し、2026年の『Bプレミア』参入に向けて地域に根ざしたクラブ運営の1つのモデルケースともなっている。チームの強化やクラブ経営においても積極的な動きを見せる、群馬の吉田真太郎GMにオフの補強や今後の掲げるビジョンについて話を聞いた。

「『おらが街のチーム』になっていくというイメージを持っています」

――新外国籍選手としてベン・ベンティル(PF・206cm)を獲得しました。獲得の意図など期待していることを教えてください。

簡単に言うとフィジカルが強くて、外のシュートがかなり上手い(3ポイントシュート成功率40%)選手です。ユーロリーグの強豪でも活躍していたので、実績は間違いないです。ケーレブ(・ターズースキー)と2人でも出られますし、4番が得意で5番もできるのでケーレブを休ませることもできます。206cmのサイズがあって外のシュートがあるので、中心的な役割を担ってくれると期待しています。

――ターズースキー選手はインサイドのスペシャリストです。プレーエリアの広いベンティル選手の加入はさらにチームの幅を広げてくれることが期待できると感じました。

まさにそういう選手を探していました。多くの選手の情報を集めて探したんですけど、205cm以上で身体が強くて外もあるとなると、もうみんなNBAに声がかかるような選手ばかりで……。彼はユーロの強豪チームからもオファーがバンバン来るような選手ですが、最終的には日本に来てくれることになったのでうれしいです。1年前にイタリア(ミラノ)でケーレブと一緒のチームでしたし、トレイ・ジョーンズとも一緒にプレーしていた経験があり、いろいろな縁が重なって日本に興味を持ってくれました。初めてプレーする日本で、かつてのチームメートがいることはメンタル的にも大きいです。

――新シーズンの開幕戦がアウェーで宇都宮ブレックス戦、ホームでの開幕戦が横浜ビー・コルセアーズとの試合になります。どんな試合を見せたいと考えていますか?

もちろん開幕4連勝でいきたい気持ちがあります。積極的な補強を敢行したチーム同士の対決となり注目度も高く、今シーズンを左右するすごく大事な2節となります。結果は後でついてくるものだと思っていますが、私たちはチャンピオンシップに進出する必要があるシーズンだととらえています。

――以前からビジョンの一つとして「バスケ文化を太田市や群馬県に根付かせる」というのがありましたが、ここまでの評価を教えてください。

太田にホームタウンを移転して2シーズンが経ちましたが、バスケットボールを知ったり、やったり、選手を目指したりする子どもたちが増えたと感じています。小学生はサンダーズのキャップを被って登下校していますし、身近な存在になってきました。これをずっとやり続けていけば『おらが街のチーム』にサンダーズがなっていくというイメージを持っています。

あとは太田市と共同で3×3のコートを市内に設置しましたので、バスケをやる機会が圧倒的に増えました。現在、市内10箇所(学校内も含む)への設置が計画されております。それも継続していき、バスケットをより身近にしていきたいです。ナリト(並里成)が育った沖縄は、米軍の人たちが街でバスケットボールをやっている姿を小さい頃から目にする環境です。やはりそういうものを目で見て体験することを継続すれば、一つの文化になってくるんじゃないのかなと思ってます。

――群馬クレインサンダーズ以外のバスケットボールの試合も誘致していきたいと以前からお話しされていました。

今回、日本代表の試合をオプアリに誘致できました。太田市の方にとっては地元で日本代表選手を観られる機会にもなりますし、太田市に訪れる人も多くなるので、交流人口や経済効果の増加も見込めます。関東の人でも群馬県太田市を知らない人はまだまだ多いので、バスケットボールを通じて太田という地名を目にする機会を増やして、街としての認知度も上げていきたいと思います。太田市は子育て環境も充実していたり、『人』に優しい街です。バスケットボールを軸に街づくりをしていき、自治体とともに魅力的になっていけばいいと思っています。次は学生バスケの主要な大会も誘致していきたいと考えています。

――最後にファンに向けたメッセージをお願いします。

直近3シーズンで群馬クレインサンダーズは多くのファンの皆様のお力で大きく成長しています。その中で今シーズンは売上18億円、平均入場者数4,500名、チャンピオンシップ出場を明確な目標にします。この目標は簡単に達成できるわけではないですが、高い目標であればあるほどクラブは成長できると思いますし、多くのファンやパートナー企業の皆様に賛同して頂いて、群馬クレインサンダーズに関わるすべての皆様の力で『Bプレミア』に行きたいと思っています。今シーズンもサポートしていただけるとうれしいです。