レイカーズが『ヤングコア』で王朝を作れた可能性はあったのか──?
ブラッドリー・ビールやクリス・ポールなど大型トレードが相次ぐオフですが、その是非が散々議論されはしても、結果が出るのは数年後です。4年前のオフに遡れば、最も話題となった大型トレードは、アンソニー・デイビスがペリカンズからレイカーズに移ったものでした。この時のレイカーズは『ヤングコア』と言われた若手に加えて、4つのドラフト1巡目指名権をトレードしています。
4年の月日が経った中で、このトレードの成否をあらためて振り返ってみましょう。
デイビスが加わったシーズンに優勝し、昨シーズンにはカンファレンスファイナルに進出したレイカーズが、トレードの勝者と言えるのは間違いありません。しかし、若干の疑問符が付くのは、シーズンごとに成功と失敗のコントラストが激しいことで、その要因はデイビスの健康状態にあります。4年間で194試合出場(欠場は113試合)とケガが多いことで、チームは一貫性を欠きました。試合に出場すれば圧倒的な存在感を示すデイビスは、レイカーズが優勝を狙うには必要不可欠な戦力であり、同時に低迷の要因にもなっています。
レイカーズ目線で見た場合、仮にこのトレードを実行しなかったとして、時間はかかっても『ヤングコア』を成長させて王朝を作れたのではないか──。そんな『if』ストーリーを考えたくなってしまうのは、対価となったブランドン・イングラムが大きく成長したからでもあります。
ペリカンズでオールスタープレイヤーとなったイングラムは間違いなくトレードの勝者です。レイカーズではレブロン・ジェームズがいる限りファーストオプションにはなれず、トレードがあったからこそエースへと成長できたという意味でも、あのトレードはイングラムにとって大きなプラスでした。
ロンゾ・ボールはフリーエージェントで移籍を選び、ジョシュ・ハートはトレードで放出されるなど、若手の成長はサラリーの高騰もセットとなるため、デイビスとのトレードが実現しなかった場合も全員が今もレイカーズに残っていることはあり得なかったはずです。
ペリカンズはイングラムがチームの核となり、さらに低確率のロッタリーが当たったことでザイオン・ウイリアムソンを指名、ジョシュ・ハートも絡んだトレードではCJ・マッカラムを獲得するなど、早々に再建を成功させました。しかし、当のザイオンは4年間で114試合出場(欠場は193試合)とデイビス以上にケガが多く、チームの核が固定されないことでアップダウンの激しいシーズンを過ごしています。結局のところ、両チームが似たような悩みを抱えています。
それだけでなく、せっかく集めたドラフト指名権が持て余し気味になっているのもペリカンズの悩みです。早々に戦力が整ったこともあり、若手有望株が出てきても十分なチャンスを与えられず、また成長を促すためにプレータイムを割くのも難しくなっています。一方でハーブ・ジョーンズやホセ・アルバラードなど、2巡目やドラフト外の選手が新たなコアメンバーと加わってもいます。
レイカーズから手に入れた1巡目指名権や順位交換の権利は手元に残っています。これを継続的なチーム強化に活用するためにも、レイカーズよりも上の順位にステップアップしたいところです。
トレードから4年が過ぎて振り返ってみると、ともにケガに悩まされている中で浮き沈みは激しいものの、優勝したレイカーズと再建に成功したペリカンズで、お互いにメリットがあったトレードでした。しかし、レイカーズは選手層の薄さに悩まされ、ペリカンズは分厚い戦力と多すぎる若手有望株を持て余し気味でもあります。今オフにはジャクソン・ヘイズがペリカンズからレイカーズに移籍しましたが、一般的な印象とは逆で、若手にとってチャンスが大きいのはレイカーズになっています。