ヨキッチ抜きでワールドカップを戦い、来年のオリンピック出場権獲得を目指す
ナゲッツでNBA優勝の立役者となり、2年連続のシーズンMVPに続いてプレーオフMVPに輝いたニコラ・ヨキッチが、今夏のワールドカップに参加しないことを決めた。NBAでファイナルまで戦い抜いた彼は、休養を優先して今夏の代表活動に参加しないことをセルビア協会に伝えたという。
セルビア代表にとってヨキッチは不可欠な戦力なだけに、彼の代表辞退は大きな痛手となる。ヨキッチは2019年のワールドカップ前回大会に出場。この時のセルビア代表は優勝候補の一角と見られていたが、準々決勝でアルゼンチンに競り負けた。
新型コロナウイルスの影響で開催が1年遅れた2021年、東京オリンピックの2カ月前に最後の出場枠を争う世界最終予選に、ヨキッチは「ナゲッツからの提案」に従う形で参加しなかった。ここで出場権を勝ち取っていれば、東京オリンピックでのプレーに向けて再度話し合いが持たれるはずだったが、ヨキッチ抜きのセルビアは伏兵のイタリア代表に敗れ、オリンピック出場を逃している。
ルール上は代表チームに選手を招集する権利があっても、自分たちの大事な資産であるスター選手を消耗させたくないNBAチームの見えない圧力の強さが浮き彫りとなる出来事だった。
そして昨夏、ユーロバスケットにヨキッチは参加したが、チームで統率された戦いを見せるイタリア相手にベスト16で敗れている。ヨキッチはこの試合で32得点13リバウンドと大活躍したが、先を見据えて彼のプレータイムを28分に抑え、彼が不在の時間帯に一気に流れを持っていかれて敗れた。
今回、セルビア代表の新たなキャプテンとなるボグダン・ボグダノビッチがヨキッチに代表参加を促していたようだが、作戦は失敗に終わった。日本の八村塁、フランスのビクター・ウェンバニャマに続いての、今度はNBAのトップスター選手のワールドカップ不参加となった。来年にはパリオリンピックがあり、2年連続での世界大会があることでスター選手が今年の代表活動を控える傾向が出ている。
ただセルビアは東京オリンピックの苦い思い出があるだけに、早々に出場権を確保したいところ。セルビアがその出場権を今夏に得るには、ワールドカップでヨーロッパの上位2チームに入る必要がある。