2022-23シーズンを東地区7位(19勝41敗)という成績で終えたレバンガ北海道。シーズン途中のヘッドコーチ交替など予期せぬ事態がありながらも、辛くもB2降格を回避したが満足のいくシーズンとはならなかった。来シーズンはチームリーダーとして力をふるった橋本竜馬がアルバルク東京に移籍し、2021-22シーズンに加入した寺園脩斗がその役割を引き継ぐことになる。新たなリーダーに胸中を聞いた。

CS出場を目標に掲げるも「例年通りのレバンガのシーズンだった」

──まずは昨シーズンの振り返りからお願いします。

個人的にはアップダウンの激しいシーズンでした。シーズン当初はなかなか調子が上がらず、チームの勝利に貢献することができなかったのが印象に残っています。佐古(賢一)さんが退任されて新しく小野寺(龍太郎)ヘッドコーチになってからスタートで起用されるようになって、そこから徐々に自分の持ち味であるペイントアタックからの得点やアシストが出せるようになりました。

──チームは19勝41敗の東地区7位に終わりました。この結果についてはどのように受け止めていますか?

シーズン前に(橋本)竜馬さんが「CSを目指す」とチームの目標を力強く宣言して、スポンサーさんもブースターさんも「今年は連れていってくれるんだ」って本当に期待されていたと思うんです。ただ蓋を開けてみるとなかなか勝てず、むしろ勝てる試合を何試合も落としてしまったことに悔いが残ります。残り数秒で逆転されたり、ターンオーバーからやられたり、決められちゃいけないところでバスカンスリーを決められたり……。結局、例年通りのレバンガのシーズンだったなっていう感じでした。

──昨シーズンの降格争いで特別なプレッシャーは感じましたか?

確かに降格の可能性はあったんですけど、自分たちがやるべきことを40分やりきれば勝てるという自信はあったので、その部分では別にヒヤヒヤっていうのはなかったです。

──個人的に成長したと感じる部分や収穫はありますか?

1番はメンタル的な部分ですね。以前だったら悪くなったらそのまま立ち直れず悪いまま沈んでいたんですけど、北海道に来て竜馬さんに出会って、メンタル的な部分で成長させてもらいました。ダメでも切り替えて次に自分の良さを出せればいいと毎回アドバイスをしてくださって、それを体現できたシーズンだったと思います。

──メンタル面の成長について、より具体的に聞かせてください。

ゲームに入る前のメンタルの大切さを学びました。試合前にメンタルの部分で負けていたらパフォーマンスが出せないし、技術うんぬんの前に勝てないんだなと。例えば、メンタルを整える方法としてルーティーン(いつも同じ動作を行うことでいつも同じレベルのパフォーマンスを発揮できるというアプローチ)があります。北海道に来る前は時間を理由に簡易化することがあって、不安要素というか100%の状態で試合に入れていなかったんですけど、北海道で竜馬さんが練習前に毎回同じルーティーンで入っているのを見て、自分もやってみようと思いました。

——寺園選手にとって、橋本選手はとても大きな存在なんですね。

はい。北海道に来て一番良かったと思うことが竜馬さんと出会えたことです。尊敬していますし、僕も竜馬さんのように周りに影響を与えられる選手になりたいと思います。

──来シーズンはその橋本選手がチームを離れます。どのような思いがありますか?

シーズン前半は竜馬さんがたくさん試合に出ていて、疲れで調子が出ていないような時も自分が力になることができない悔しい状況がありました。そういうこともあって後半は「自分がやらなきゃいけない」という気持ちになっていたところもあります。

寺園脩斗

「目の前の試合を勝ち切り、それを積み重ねていけばCSに出場できる」

──オフシーズンはどんなところを強化していますか?

昨シーズンはディフェンスですごくチームに迷惑をかけました。ストレートに縦に抜かれたり、オフェンスで体力を使ってしまってディフェンスに戻れなくて簡単にやられてしまったりとか。まずはディフェンスを姿勢などの基礎から見直しています。あとはプルアップで3ポイントシュートを打てるようにならないといけないと思って、練習しているところです。

──プルアップだと確率が落ちるということですか?

落ちるというよりも自信がなくて、そもそもプレーの選択肢になかったという感じですかね。プルアップの2ポイントだと確率は高いんですけど。プルアップスリーが武器になれば、もっと自分のプレーの幅が広がっていくんじゃないかなと思います。

──フローターで3ポイントを打っていたかと思いますが、あれは練習されているんですか?

今も練習してます。あまり打つ場面はないですけど、本当に残り数秒というシチュエーションの時などのために打っていますね。

──チームとして目指していきたい方向性はありますか?

佐古さんがヘッドコーチをされている時は、選手がなかなかコーチのやりたいバスケットを体現できておらず、ヘッドコーチが変わってからも選手たちの遂行レベルが低いというか、自分たちがやるべきことをやらないで負ける試合が多かったので、次のシーズンはコーチたちが求めていることを40分間遂行するシーズンにしたいと思います。

──コロナ禍で多くのクラブが集客に苦戦しましたが北海道はどうでしたか?

集客はコロナ前の方がすごかったと聞いています。6.000人以上入ることもあったみたいです。昨季は平均だと3.000人以上入るんですけど、成績が落ち込んでいることも影響しているのか、以前に比べたら入らなくなったと言われています。

── 選手目線で集客アップのアイディアはありますか?

プロ野球もJリーグもBリーグと入れ替わりの時期にやっているので、そのファンをバスケの方に持って来られたらいいなとは思ったりします。ただ強くないとニュースに上がる回数も少なくて、なかなか露出ができません。まずは僕たち選手が勝利を重ねてCSに出るチームになるというのが大前提。それがあった上でフロントスタッフが露出の部分を頑張ってくれると思うので、まずは僕たちが頑張らなければいけないという感じです。今はファイターズ(北海道日本ハムファイターズ)も勝ち始めているし、コンサドーレ(北海道コンサドーレ札幌)もJ1トップレベルの得点能力があって面白いと聞くので、ちょっと置いていかれている感じは個人的にあります。

──来シーズンの目標を聞かせてください。

昨シーズンはチャンピオンシップ出場を目指していました。来シーズンは目の前の試合を勝ち切り、それを積み重ねていけばCSに出場できると考えています。もちろん高い目標を立てることは大事ですけど、僕は目の前の1試合、1分1秒に全力を尽くせるようなチームにしたいなと思います。

──橋本選手が退団し、寺園選手にかかる期待はより大きくなると思います。

僕と竜馬さんはプレースタイルは全然違いますが、メンタル的な部分やキャプテンシーで学ぶことがすごく多かったので、学んだことをしっかり生かし、レバンガ北海道というチームで僕が引き継いでいきたいです。去年は沈んだらとことん沈んでしまうようなところがあって、そこを竜馬さんがどうにか引き上げてくれていたので、その役割を僕が担って勝たせられるような、勝ち続けられるようなチームにしたいと思います。

──寺園選手は身長172cmと、B1でプレーする選手の中では小柄です。どんな気持ちでプレーしていますか?

僕が思っているのは、自分が誰にも負けない武器を持っているかということです。僕だったらスピードでペイントアタック、竜馬さんだったらキャプテンシーとディフェンス。自分が本当に1番自信のある武器っていうのを待つことができれば、このサイズでもB1でやっていけると思っています。そこを追求して、毎年課題が出るんですけど、それを一つひとつクリアにして次のシーズンに臨めれば、B1で戦い続けられるんじゃないかなと思います。

──最後に、ファンの方々にメッセージをお願いします。

ブースターのみなさん。昨シーズンは負けが続いて苦しい時もあったんですけど、変わらない大きい声援をくださり本当にありがとうございます。次のシーズンは目の前の1試合、1分1秒に全力をかけられるチームにしたいと思っているので、そこを見ていただきたいです。そして、ブースターのみなさんは会場に来たら勝利が見たいと思うので、できるだけ多く勝たせられるように僕もチームも頑張っていきたいと思います。新シーズンも応援よろしくお願いします。