「本当に一つひとつ必死にやらないと先はないと自分に対して思いました」
今夏のワールドカップに向け強化を進めている男子日本代表は今週末に韓国遠征を行う。
直前合宿に招集されたのは17名だが、指揮官のトム・ホーバスは「連れていくのは14、5人」と公表しているため、このタイミングで少なくとも2人以上が代表争いから脱落すると見られている。
代表の座を勝ち取るには合宿でレベルの高いプレーを見せることが大事だが、強化試合のパフォーマンスも重要だ。チャイニーズ・タイペイとの強化試合ではそれぞれが持ち味を発揮し2連勝したが、アピールに失敗した選手も少なからずいる。その一人が須田侑太郎だ。
須田は強化試合をこのように回顧する。「シュートが入らなかったですし、ディフェンスももっと強度高くできたんじゃないかなって。危機感というか必死さというか、他の選手に比べれば足りない部分があったと思います。ディフェンスと3ポイントシュート、その2つは自分のアイデンティティだと思っているので、そこをちゃんと出し切れなかったことが非常に悔しかったです。当落線上にいる中で、もっと危機感を持ってやらないといけないと強く思いました」
須田は初戦で先発を務めるも3ポイントシュートは4本中1本の成功に終わり、プレータイムは9分4秒とチーム内で最短だった。続く2戦目は先発を外れ、長距離砲は再び4本中1本の成功に留まり、プレータイムは6分3秒とさらに短くなった。「いろいろな選手がステップアップしていました。なくはないですけど、こんなにダイレクトにプレータイムが減ったのは結構久しぶりで、現実を突きつけられたような感覚でした」と須田は言う。
ライバルたちのハイパフォーマンスを間近で見ていたこともあり、須田が自身のパフォーマンスに納得がいかないのは当然だろう。もちろん、出遅れてしまった感は否めない。それでも須田はこの強化試合が大きな『気づき』になったともとらえている。「本当に一つひとつ必死にやらないと先はないと自分に対して思いました。そのことに気付けたことが大きかったです。それで終わってしまっていたらすごく後悔していたと思いますが、幸運なことに合宿というチャンスがあります。韓国遠征でふるいにかけられ、カットされる選手も出てくると思います。後悔のないように120%コミットして、毎日を丁寧に、魂を込めて過ごしていきたいと思っています」
須田は今回のメンバーの中で上から3番目となる31歳。所属する名古屋ダイヤモンドドルフィンズでは中心選手の一人として活躍している。ある程度の立場が確立された人間はその状況に甘んじ、努力を怠ってしまうことも少なくない。須田も自身を見直す良い機会になったと心から思っている。
「年齢的にも、立ち位置的にもああいう経験(プレータイム減少)ができるのは、昔に比べると多くはないです。ここでそれに気付けたというのは感謝しかないですね。同じ環境にいたり、怠けて仕事をしたりとか、誰しも甘さが出てしまうこともあると思います。最初から分かっていて実行できることがベストですが、そんなにうまいこといきません。自分が変わって、ステップアップしていけるチャンスなので、練習から必死に食らいついてやっていきたいと思っています」
やや暗い表情で話し始めた須田だったが、最後は清々しい表情へと変わっていった。もう迷いはない。「チャイニーズ・タイペイ戦のパフォーマンスがああいう結果で良かったって、後になって言いたいですね」