「勝てない選手がずっと上にいても仕方ないです」
7月15日、サンズの渡邊雄太が自身の主催によるバスケットボールクリニックを東京都内の高校バスケットボール部に所属する男子20名、女子20名を対象に行った。午前中に行われたスキルクリニック、給水の間に行われたNBAに関連するクイズ、また午後に行われた食事に関する座学やゲーム形式のメニューなど内容はすべて渡邊本人が考えたものだ。最後には自身のシューティングのワークアウトを披露し、ボースハンドとワンハンドでそれぞれダンクを叩き込み、会場を沸かせた。
すべてのメニューの終了後にはクイズの正解者、ゲーム形式のメニューで勝ち残った生徒に、 渡邊 サイン入りカスタムシューズをプレゼントした。予定時間を30分以上もオーバーする盛りだくさんの内容となったが、本来は自身も参加予定だった5対5は左ふくらはぎに軽い痛みがあるため見送ることに。7月28日に代表合流が発表されているため、ケガの具合が気になるところだが、本人は軽症であると語る。「アメリカでピックアップゲームをやった時にちょっと左のふくらはぎを痛めただけです。5日前に日本に帰ってきたのですが、最終日の練習で痛めてしまいました」
「動きにそんなに制限がある訳ではないですが、代表合流も控えていて無理をする時ではない。仮に悪化させたら意味がなくなってしまいます。良いコンディショニングで代表に合流できるかが大事です。ケガ自体は深刻なものではなく、ちょっと慎重になっているだけです」
また、この日のクリニックで渡邊は日の丸をデザインしたシューズを履いていた。これはワールドカップ2019の時から代表でプレーする時に入れてもらっているもので、そこには「日の丸を背負うことは責任があり、軽いことはできないです」という強い気持ち込められている。
この4年間、渡邊は代表の中心を担い続けてきた。八村塁が欠場する今回、日本代表の絶対的な大黒柱は渡邊であるのは明らかだ。そして、過去の苦い経験を経て、今夏はなんとしても結果をもたらしたいと語る。「リーダーとしてチームを勝たせていく立場になっていますが、大きな国際大会では前回のワールドカップで5連敗、東京五輪で3連敗と負けが続いています。中心選手として、そこの責任をしっかり果たさないといけないと思っています」
そして渡邊は退路を断つかのような悲壮な覚悟を明かす。「やっている人、見ている人と、誰もが負けることを望んでいない中、今回も連敗で終わるようなことがあれば代表のユニフォームを脱ぐつもりでいます。それくらい今回のワールドカップにかけています」
「勝てない選手がずっと上にいても仕方がないです。それなら若い良い選手がいっぱい出ているので、早く世代交代をやってしまった方がいいです。今のチームをパリ五輪に連れていくことができなかったら、もう代表選手としている資格はないくらいの気持ちで日の丸を背負っています」
今夏のワールドカップが渡邊の日本代表のユニフォームを着る最後の大会になることは誰も望んでいないだろう。彼の覚悟を結果へと繋げるためにも、まずは万全のコンディションで本大会を迎えられることを願う。