ディロン・ブルックス

「批判やヘイトを集めるのもバスケットボールの一部だ」

ディロン・ブルックスはNBAデビューから6シーズンを過ごしたグリズリーズを離れ、フリーエージェントとなってロケッツの新たな一員となった。グリズリーズから契約延長をオファーされなかったことに少なからず失望しただろうが、4年8000万ドル(約110億円)は破格のオファーで、ブルックスとしては大きな成功を手にしたことになる。

移籍はNBAのビジネスで、そこに感情のしこりは残らない。サマーリーグが行われているラスベガスの会場にやって来たブルックスは、長らく一緒にプレーしたジャレン・ジャクソンJr.とデズモンド・ベインを見付けると抱擁を交わし、試合を観戦しながらおしゃべりを楽しんでいた。

サマーリーグ期間中のロケッツの練習会場で取材に応じたブルックスは、ロケッツを選んだ理由を「3年か4年前のグリズリーズに似た雰囲気を感じていたから」と語る。「若くて良い選手が揃っていて、そこに自分らしいインパクトを与えられると思う。僕は積極的に声を出していくタイプだし、ベテランの経験とディフェンスへの愛情を伝えるつもりだ」

ロケッツは再建が終わり、フレッド・バンブリートやブルックスといった即戦力のベテランを獲得して一気に浮上しようとしている。チームの目標を問われたブルックスは「ベイビーステップだ。少しずつ成長していけばいい」と語る。

「まずはトレーニングキャンプで良い習慣を作ること。細部にこだわり、どれだけハードにプレーできるか。そして1試合ずつ、より良いチームになれるよう努力していく。目標はプレーオフに出ることだけど、それにはやっぱり一歩ずつの成長が必要になる」

昨シーズンのブルックスはどこが相手でもキーマンをマークし、コート外での舌戦も含めて相手を止めるためならダーティーワークも辞さないディフェンスを見せてきた。プレーオフではレブロン・ジェームズに対して「年寄りは気にしない」と挑発するなど過激な言動を連発して『ヒール』を完全に印象付けたが、それでもグリズリーズを51勝31敗でのプレーオフ進出に導き、個人としてはオールディフェンシブセカンドチームに選ばれている。

「批判やヘイトを集めるのもバスケットボールの一部だ。でも、そうやってプレーする中で僕は絶対に屈しない、ガッツのあるプレーヤーへと成長できた。これからもそうやって成長し続けたいと思っているよ」と彼は言う。

ロケッツに行っても、やるべきことは変わらない。相手のキーマンを止め、リズムを乱し、試合の流れを自分たちに持ってくる。そうやって試合にインパクトを与えることだ。

「このリーグではオフェンスが強調されるけど、安定して結果を出し、プレーオフで勝つにはディフェンスが必要になる。このリーグでプレーするレベルの選手であれば誰でも得点は取れる。だからこそ、どうやって止めるかが大事になるんだ。常に全力でプレーし、仲間と結束し、試合ごとに学んで成長していく。そうやってチームに貢献するつもりだ」