「ラスベガスで彼のフィジカルが問題になっているところを見たかい?」

スパーズのビクター・ウェンバニャマは、サマーリーグ2試合目となるトレイルブレイザーズ戦で27得点12リバウンドを挙げるなど、類い稀な才能の片鱗を披露した。だが今夏、ウェンバニャマがその卓越したプレーでファンの注目を集めることはもうない。先日、スパーズがウェンバニャマのサマーリーグの残り試合欠場を発表したからだ。ドラフト前からずっと注目され続けていたウェンバニャマは、これからはメディアの前に姿を見せることを極力なくし、トレーニングキャンプ開幕までバスケットボールのトレーニングに専念していく。

ウェンバニャマが逸材と評される理由は221cmの長身でありながらウイングの選手と同等のクイックネス、機動力、ボールハンドリングを備えるその万能性にある。NBAの長い歴史の中でも唯一無二の存在になると見られている彼に対し、数少ない改善点として声が挙がるのが線の細さだ。フィジカルコンタクトの激しいNBAにおいて、現在の102kgの体重をもっと増やすべきという意見がしばしばみ見られる。

だが、ウェンバニャマの代理人であるボウナ・ンジャイはその必要はないと考えている。スポーツ&カルチャーのサイト『ANDSCOPE』のマーク・J・スピアーズ記者の取材に対し、ンジャイは、「ラスベガスで彼のフィジカルが問題になっているところを見たかい?人々は間違っている。私たちは体重を増やすことにフォーカスしない。体重を増やすのは大きな間違いだ。私たちは体幹を鍛え、強さを増すことに集中している」と語る。

その上でンジャイは、サマーリーグ期間中にNBAを代表する名センターだったカリーム・アドゥブル・ジャバーと出会えたのはウェンバニャマにとって貴重な機会だったと続ける。「41歳までプレーしたジャバーと繋がりを持てたことはうれしい。彼の道のりこそ、私たちが歩みたいものだ。ジャバーは同じような体格で彼もがっちりした身体ではなかった。ビクターはより機動力があり、プレーが華やかで身長が高い」

ちなみにンジャイは、フランスを拠点とするエージェント会社『Comsport』の創設者かつCEOだ。同社はウェンバニャマの他にもルディ・ゴベア、ニコラ・バトゥーム、エバン・フォーニエ、今年のドラフトで全体7位指名を受けたビラル・クリバリといったフランス人選手など多くの選手の代理人を務めている。ウェンバニャマの飛躍とともに、今後ンジャイの発言がメディアに取り上げられる機会は増えていくはずだ。