ポイントガード3人を含む8名はすでにロスター入り確定か、争われるのは残り4枠

男子日本代表は7月8日、9日にチャイニーズ・タイペイとの強化試合を行った。8月24日に開幕するFIBAワールドカップ2023に向け、いよいよチーム作りも佳境に入っている。八村塁の欠場が決まり、渡邊雄太が出場を明言している。NBA組の去就が決まったことで、12名の最終ロスター争いの基準もより明確になった。

強化試合の終了後、トム・ホーバスヘッドコーチは12名の内訳について「考えはありますが、言わないです。でも見ればわかると思う」と語る。

明言を避ける中でも指揮官はこのように続ける。「ポイントガードは3人が好きです。速いバスケットをやると2人では足りないです。2番、3番の違いはなく、同じポジションという考えです。(インサイドは)渡邊(雄太)が入り、ジョシュ(ホーキンソン)もいます。また、吉井(裕鷹)は3番、4番のどちらで使うとか、いろいろと考えています。これからメンバーを決める大変な仕事があります」

このホーバスのコメントから推測するに、ポイントガード3名は富樫勇樹、河村勇輝、テーブス海で確定だろう。現在強化合宿に参加しているポイントガードはこの3名のみであり、他に選択肢はない。今回の強化試合で西田優大を司令塔として起用したのも、選手起用の幅をもたせることに加え、考えたくはないがこの3名の誰かが故障などを負った場合の備えという側面もあるのではないだろうか。

ポイントガードの3人以外だと、渡邊雄太、馬場雄大、富永啓生、ホーキンソンはコアメンバーだ。また、サイズ不足の日本代表において、207cmのサイズと跳躍力を備えた渡邉飛勇は貴重なリムプロテクターとして欠かせない。チャイニーズ・タイペイ戦はコンディション不良から2試合とも欠場したが、「先発で使うつもりだった」とホーバスヘッドコーチも大きな期待を寄せている。そう考えるとすでに8名は確定的であり、残り4名を争う状況となっている。

今の代表はポイントガード、2番&3番のウイング、4番&5番のビッグと大きく3つのポジションに分けることができる。その中で馬場と富永をウイング、渡邊とホーキンソンをビッグに置くと、残り4名の配分はウイング3名、ビッグ1名と予想する。

ウイングは6名で3枠を競う過酷な争い、ビッグは吉井、井上、川真田の3人の争いか

過酷な競争となっているのはウイングで、ホーバス体制になってから実戦での出場機会も多い西田、須田侑太郎、比江島慎に加え、今回のチャイニーズ・タイペイ戦でフル代表デビューとなった原修太、伸び盛りの若手である金近、U19ワールドカップでの活躍が記憶に新しいジェイコブス晶の6名で3枠を争う構図だ。ホーバスは、次のように各選手についての一長一短を語っている。

「マコ(比江島)はすごく頑張っていて、シュートもよく入っていますけど、毎回それをやらないのはマコっぽいですね(笑)。彼はすごく経験があり、強い気持ちを持っていますけど、それをあまり見せないです。西田は今回の合宿で本当に良い仕事をしていて、今日は良いプレーを見せてくれました。富永のように3ポイントシュートは入らないですけど、ディフェンスが良いです。今は1番ポジションをできるか試しているところです。マコも今日、少しポイントガードをやりました。彼はペイントアタックが上手ですが、フィニッシュについては西田の方が力強いですし、ディフェンスはいいです」

「須田はこの1年間、すごくいい仕事をしていますが、今回の合宿ではそんなに3ポイントシュートが入らなかったです。調子は悪くないけど、特別ではないです。ただ、彼はディフェンスがよくできます。金近は最近あまりシュートが入っていなかったので、自信が下がっていました。ただ、彼はシュート入らなくても他のことができます。ディフェンスもよくやっていて、リバウンドもよくとっていました。それは彼にとって大きくて、シュートが入らなくてもいろいろできるかなと思います。彼は、結構アピールしました」

また、戦術の習得度で大きな遅れがある原についてはディフェンス力を高く評価しており、2試合目の途中で187cmの彼を4番ポジションで起用したのは今後を見据えてのテストだったと明かす。「原選手は、どこまで相手のビッグマンにディフェンスができるか見ました。4番で起用したのは、チャイニーズ・タイペイの4番の選手は、多分ドイツの2番か3番の選手くらいの身長だからです」

ビッグについては、吉井、井上宗一郎、川真田紘也らの争いとなってくるだろう。ホーバスヘッドコーチは「プラスマイナスの選手がいっぱいいます」と各選手に一長一短があり選考は難しいと強調するが、その中で誰がアピールに成功するのか。韓国代表、ニュージーランド代表との強化試合では、中心メンバーの仕上がり具合と共に当落線上の選手がどのようにステップアップするのかも大きな見どころだ。