ネッツからサンダーへ、そしてホークスへとトレード
パティ・ミルズはNBAオフシーズンのビジネスの荒波に飲まれている。
スパーズで10シーズンを過ごしたポイントガードは、2021年にフリーエージェントとなってネッツと契約を結び、1年目の2021-22シーズンには81試合に出場、うち48試合はスタートを任され、カイリー・アービング以上に安定したパフォーマンスを見せるキャリア最高のシーズンを送った。しかし、ジェームズ・ハーデンに続いて昨シーズン途中にカイリー・アービングとケビン・デュラントも退団して『ビッグ3』が解体となったネッツで、彼も出場機会を失っていく。昨シーズンはカイリーの、そしてスペンサー・ディンウィディーの影に隠れ、存在感を出せなかった。
ミルズの契約はあと1年残っているが、680万ドル(約9億円)の年俸はバックアップとしては抱えづらい金額。ネッツはそれを嫌って彼をロケッツにトレードし、ロケッツは彼をすぐにサンダーへと放出した。これに喜んだのはオーストラリアのファンで、ジョシュ・ギディーとのコンビが見られるとの期待に沸いたのだが、たった数日で彼はホークスにトレードされた。
ホークスは、タイタイ・ワシントンJr.とウスマン・ガルーバ、ルディ・ゲイと2巡目指名権を譲渡してまでミルズを欲しがったのかと思われるが、そうではなさそうだ。このトレードでホークスは450万ドルのサラリーを削減できる。ミルズはトレイ・ヤングと、契約延長に合意したデジャンテ・マレーのバックアップガードを務めるには最適なベテランガードでありシューターだが、ホークスがさらなるサラリー削減を考えた場合にはまたトレードがあるかもしれない。
2021年には移籍について「オリンピック期間中にフリーエージェントで多くのことが変わるのは大変なんだ」とミルズは語っていた。だが、この時は好きなチームと契約できる自分の権利を行使していたのに対し、今回はチームのビジネスに振り回されるのだから大変だ。
奇しくも今回も代表期間中の移籍となった。オリンピックの時は希望に満ちた移籍となったが、自分で自分の未来を決められない今回は大きなストレスとなるだろう。ただ、ネッツでの2年間で良い時と悪い時があったように、この先も彼次第で変えられるはずだ。