コネリーGM「これから我々が下す決断のほとんどは、アントが最優先される」
アンソニー・エドワーズは2020年のNBAドラフトで全体1位指名を受けた時点で、ミネソタのことを何も知らなかった。観光名所も、地元の人々が集まる場所も、人々の気質や食事なども。それでも彼はすぐにミネアポリスでの暮らしを気に入り、それがバスケにもプラスに働いた。
デビューからの3シーズン、常にチームの主力として活躍。3年目の昨シーズンはチームトップの24.6得点に加え、5.1リバウンドと3.7アシストを記録。プレーオフはファーストラウンドの5試合だけで終わってしまったが、彼は31.6得点とスタッツを伸ばしている。
ディフェンスが強調されて多くの選手がスタッツを落とすプレーオフで、逆に存在感を強められるのがエドワーズの特徴だ。「プレーオフの雰囲気は大好きだ。この舞台が僕のベストを引き出してくれる」と彼は言う。
エドワーズはスタッツを伸ばすだけでなく、チーム内での重要度を年々高めてもいる。ルーキーイヤーにはカール・アンソニー・タウンズやディアンジェロ・ラッセルがウルブズのキープレーヤーだと言い、自らは一歩引くようなところがあったが、3年目には声を出し、リーダーシップを発揮するようになった。タウンズは人柄が良く責任感も強いが、強い気持ちを出してチームメートを引っ張っていくのが得意ではない。エドワーズはそれを自分が担うべきだと腹をくくってから、攻守に一段階レベルアップしたようだ。
ウルブズはその彼に、5年2億6000万ドル(約350億円)の契約延長を提示し、合意に至ったと『ESPN』は報じている。プレーヤーオプションなしの5年契約という大型契約を得て、彼は名実ともにウルブズのエースとなる。
タウンズとルディ・ゴベアの『ツインタワー』は、結成1年目の昨シーズンは調子の波が激しく、プレーオフではナゲッツの円熟の連携に振り回され、攻めでもエドワーズのドライブのコースを消してしまった。ツインタワーのポテンシャルは間違いなく、2年目の成熟が問われるが、ツインタワーの成熟以上に、このチームはエドワーズが自分のプレーでどれだけ引っ張れるかにかかっている。
ティム・コネリーGMはシーズン終了時に「これから我々が下す決断のほとんどは、アント(エドワーズ)が最優先されることになる」と語っている。これはエドワーズとの契約延長が今オフの最優先事項であるだけでなく、チーム作りのあらゆる判断に対して、エースであるエドワーズにフィットするかどうかを優先するとの意思表示だろう。
ウルブズはナズ・リードとの契約延長にも合意。ジェイデン・マクダニエルズとの契約延長交渉にも入っている。昨シーズンの主力をそのまま残す継続路線の中で、エドワーズにはより多くの活躍と、リーダーシップを発揮することが求められる。
シーズンが終わったタイミングでタウンズは「アントの才能はとんでもない。このリーグを代表する選手になる。僕らには必要なものがすべてある。あとは協力して戦い続ければいい」と語っているが、エドワーズは「僕が本当にすごいエースだったら、ファーストラウンドで負け続けてちゃダメだ」と語っている。
1年目はプレーオフに進出できず、この2年はファーストラウンド敗退。そのウルブズをさらに上へと引き上げるべく、エドワーズは自分にやれる限りのことをやるつもりだ。21歳にして彼は、ティンバーウルブズのリーダーになることを受け入れ、さらなる高みを目指す。