マーカス・スマート

「ショックだったけど、NBAのビジネスは理解している」

マーカス・スマートは、クリスタプス・ポルジンギスを獲得するための3チーム間トレードでグリズリーズへと移籍する。トレードが決まってから約10日、NBAデビューから9シーズンを過ごしたセルティックスを離れる前に、彼はボストンの地元メディアを集めて心境を語った。

この数日はどこに出掛けてもファンから声を掛けられると言う。「僕はビジネスとプライベートを切り分けて考えるようにしているけど、ボストンの人々との絆は特別だ。ファンからは会うたびに『ショックだ』と言われるし、中には涙を流す人もいる。僕らは一緒に戦って成長してきたから、別れはつらい。ファンと話していると、切り分けて考えることができずに感情的になってしまうことがある。ただ、フロントはチームにとってベストだと思う決断を下した。それがすべてなんだ」

移籍が決まった時のことを「ショックだった」と彼は振り返る。「僕はもう寝ていて、エージェントから電話を受けた僕の彼女に知らされた。次の日に練習場に自分の荷物を取りに行って、そこでブラッドと、来ていた何人かのチームメートと話した」

ブラッド・スティーブンスはスマートがNBAドラフトされる前年からセルティックスの指揮を執っている。ヘッドコーチから球団社長へと職務を変えた彼は、最も長く一緒に戦ったスマートをトレードに出す決断を下した。「事前にトレードについて話していたわけじゃないから、こうなるとは思っていなかった。ショックだったけど、NBAのビジネスは理解している」

「ブラッドに怒りや不満はない。僕らは長い年月を共有してきた。このトレードには多くのことが関与していて、僕には言えないこともあるだろうけど、結局のところ僕らの間にあるのは愛だけだ。悪い感情は生まれようがないよ」

「唯一の後悔があるとすれば、今シーズンにファイナル進出を逃したことかな。でも、僕はこのチームで歩んできた道のりが大好きで、後悔はしていない。勝つチャンスがあったのに取り逃したのは残念だけど、それ以外のすべてが楽しかった。僕が僕であることを許し、受け入れてくれた場所だからね」

セルティックスのファンには、一つ心配事があった。スマートの移籍が決まって、チームメートがSNSで多くのメッセージを投げ掛ける中、ジェイレン・ブラウンだけが何のリアクションもしなかったのだ。これにより2人の不仲説が浮上したが、スマートは「全然違うよ」と笑い飛ばした。

「チームの誰とも揉め事はない。僕は彼らを愛し、彼らは僕を愛してくれる。何か困ったことがあればあいつららに電話するし、その逆もある。JB(ブラウン)とは特に仲が良いよ。SNSには何も投稿しなかったかもしれないけど、彼はメールをくれた。移籍についてはがっかりしていたけど、感動的なメールだった。仲が悪いなんて絶対にないよ。僕らは一緒にたくさんのことを経験してきた。ジェイレンとジェイソン(テイタム)は、ダラスでの母の葬儀に一緒に来てくれた生涯の兄弟だよ」

そして彼はプロとして、新天地グリズリーズでの挑戦を楽しみにもしている。「グリズリーズは若いチームで、僕はスティーブン・アダムスに次いで年上になる。僕は長らくチーム最年少だったから、ちょっと慣れないな(笑)。でも、若いチームに自分のスキルやメンタリティ、試合への考え方を伝えられるのは楽しみだ。ジャ(モラント)を始め、まだ進化している選手と一緒にプレーし、その成長の一端を担うのもうれしい。チームのために、選手それぞれがベストになるために、自分にできることはすべてやるつもりだ」