「今日もみんなが集中してチームのために戦えていて、良い雰囲気です」
女子アジアカップ2023、日本代表は準決勝でニュージーランドと対戦し88-52と圧勝した。日本は出だしからチーム全員の足が良く動く激しいプレッシャーディフェンスでニュージーランドにタフショットを打たせ続け、開始から約4分間の失点を1に抑えた。こうして守備でリズムをつかむと、停滞していたオフェンスを馬瓜ステファニーが打開していった。
スピードのミスマッチを生かしたドライブからのレイアップ、3ポイントシュートを沈めティップオフからの9-1のランの内、ステファニーが7得点を挙げた。そして第2クォーターには、リードを20点に広げる4ポイントプレーを決めるなど、試合を通して効果的なプレーを継続。最終的にはフィールドゴール9本中7本成功の17得点6リバウンド3アシストと見事なスタッツを残している。
試合後、ステファニーは「しっかりと入りから集中できたことがすごく大きかったです。足を動かして最後まで守りきれました」と言い、守備がもたらした快勝だったと振り返った。
また、五輪最終予選への出場を決めたオーストラリアとのグループリーグ最終戦での快勝(91-66)で良い波に乗れていると続けた。「(オーストラリア戦は)チームをより1つにするための大きな勝利となり、雰囲気も良くなりました。そして今日もみんなが集中してチームのために戦えていて良い雰囲気です」
そして、自身のオフェンスについて聞くと、ベスト4進出決定となった前日のニュージーランドvsフィリピン戦を会場で観戦し、自分のところにアドバンテージがあると感じていたという。「日本は誰でも得点できるチームですが、昨日の試合を現地で見た感じだと4番、5番ポジションのところで分があると感じたので、今日は積極的に行けるようにとは思っていました。自分のところにスペースが生まれた際、今日は迷わずに行けました」
「自分たちにしっかり自信を持って決勝に臨みたいです」
この『迷わず行く』というアクションは、今夏にWNBAニューヨーク・リバティのキャンプに参加し、世界のトップ選手たちと一緒に過ごしたことで得た教訓でもあるという。「みんな気持ちが強いだけでなく、プレーに迷いがない。他の人から見たら無理やりに思えるようなドライブ、シュートも自分が行けると思ったら行っていました。自分もそうするべきだと、考え方がクリアになりました」
馬瓜は機動力とリーチの長さを備えた日本屈指のオールラウンダーであり、当然のようにオフェンスだけでなくディフェンスの意識も高い。そして、「試合は個人の戦いではないですが、それでも目の前の相手に勝たないといけないと思っています」と語り、2ウェイ選手としてのプライドを見せる。「自分が15得点を取っても、自分がマークする相手に15得点を取られたら意味はないし、マイナスになると思っています。ディフェンスもしっかりやらないといけないと考えます」
いよいよ明日は大会6連覇をかけた決勝の大一番となるが、馬瓜はここまでの戦いぶりに確固たる手応えを得ている。「正直、初戦のチャイニーズ・タイペイ戦はチームとして噛み合っていない部分がありましたが、オーストラリア戦、ニュージーランド戦とチームが1つになれています。決勝でオーストラリア、中国のどちらと対戦になっても今のチームなら負ける気はしないです。そこは驕りではないですし、自分たちにしっかり自信を持って決勝に臨みたいです」
馬瓜はリバティで惜しくも開幕ロスター争いに生き残れなかった。そして、リバティの指揮官は奇しくもオーストラリア代表のヘッドコーチでもあるサンディ・ブロンデッロだ。彼女もWNBAを優先し、主力選手たちと共に今回のアジアカップには参加していないが、大会を間違いなくチェックしているだろう。明日、馬瓜には「逃した魚は大きかった」と感じさせるプレーで日本を頂点に導いてもらいたい。