マーカス・スマート

テイタムもメッセージ「生涯の兄弟、またいつか一緒に勝利を手にしよう」

来シーズンのセルティックスに髪を緑色に染めたマーカス・スマートはいない。カンファレンスファイナルでヒートに敗れた後、ブラッド・スティーブンス球団社長はコアメンバーに手を入れてチームを強化することを決断し、クリスタプス・ポルジンギスの獲得に動いた。

マルコム・ブログドンを放出する3チーム間トレードが一度は成立したと報じられたが、ブログドンのケガの状態を懸念したクリッパーズが土壇場で交渉から降りた。ポルジンギスが契約最終年のプレーヤーオプションを行使するかどうかの判断がある関係で、その日のうちにトレードを決める必要があった。そこでスティーブンスは、スマートをグリズリーズに放出することで3チーム間トレードを成立させた。

現地23日にブラッド・スティーブンスは取材に応じ、「辛い決断だった」との心境を明かしている。スマートにトレードを通達する電話を掛けたのは夜中の24時。すべての交渉がまとまったのはその2時間後だった。

「あまり長い電話ではなかった。繊細な出来事だし、荒唐無稽の憶測がたくさん出回ることもあって気持ちの整理は難しいだろうが、彼に感謝の気持ちを伝える機会だった。我々の誰もがマーカスに感謝している。寂しいけど、彼はグリズリーズでも本当に良い影響を与えるだろう。ただ、彼の心にはいつもボストンがある。チームメートやコーチ、スタッフとの関係は永遠に続くものだ」とスティーブンスは言う。

その翌日、スマートはセルティックスのクラブオフィスを訪れ、関係者に別れの挨拶をした。聡明な彼は、これがNBAのビジネスであることを理解している。そしてSNSを通じてメッセージを送った。

「どこから話し始めたらいいのか、この9年間のことを思い起こすと、様々な感情が僕の中を駆け巡る。僕はダラスから来た何も知らない若者で、ただ母が植え付けた労働倫理だけがあって、努力を惜しまないことでファン一人ひとりの尊敬を勝ち取るつもりでいた。ボストン、僕にとってとても特別な場所。僕はここで成長し、最高の友人たちと出会った。ここでの時間を忘れることはない。セルティックスに18回目の優勝をもたらすことはできなかったけど、自分たちが得た成功を誇りに思う。ボストンのことを思い出す時、一番恋しくなるのはチームメートたち、ファンたち、病院での慈善活動のことだろうな」

「素晴らしい9年間だった。ボストンがくれたすべての愛に感謝している。でも、今は前を向く時だ。メンフィスに行き、新たな挑戦をスタートさせるのが待ちきれない。特別なことが起こりそうだ。仕事を始めよう」

セルティックスのファンにとって、スマートの退団は大きな衝撃だ。近年でセルティックスが唯一プレーオフ進出を逃したのは2013-14シーズンで、その直後のNBAドラフトで1巡目6位指名を受けてスマートはセルティックスにやって来た。それから9シーズン、スマートは彼の言葉通り、常に全力で勝利を追い求めることでファンの心をつかんだ。セルティックスのエースはジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウンだが、チームのハートを象徴するのは間違いなくスマートだった。

その彼は惜しまれつつセルティックスを去る。テイタムはこんな文章をSNSに投稿している。「僕を追い込み、旅路を助けてくれた君には永遠に感謝する。これからも君らしくあり続けてほしい。代わりのいない特別な存在なんだから。生涯の兄弟、またいつか一緒に勝利を手にしよう、絶対にね!」