キョンタ・ジョンソン

約7億円の保険適用を見送り、プロ選手のキャリアを選択

カンザス州立大のキョンタ・ジョンソンは今年のNBAドラフトにおいて2巡目で指名されるかどうかという存在で注目度は高くない。しかし、彼の大学時代の道のりを振り返ると、ドラフト候補生になっていること自体が驚きだ。

元々ジョンソンは名門フロリダ大で1年生の時からチームの主力を務め、2年時には1試合平均30分以上のプレータイムで平均14.0得点、7.1リバウンドを挙げる中心選手だった。そして3年生のシーズン開幕前には、NBAドラフトで1巡指名も予想されるほどに評価を高めていた。しかし、2020年12月12日のフロリダ州立大の試合中にいきなり倒れて緊急搬送されてしまう。その後、なんとか容態は安定して九死に一生を得たジョンソンは、試合復帰を望んでいたが、フロリダ大は安全面を理由に許可しなかった。そして、彼はそのまま実戦復帰することなく4年間を終えてしまう。

これで彼のバスケットボール選手としてのキャリアは終了してしまうと思われたが、ジョンソンの復帰への強い意欲は変わらなかった。そして、コロナ禍の特例措置で大学でのプレー期間が1年伸びたこともあり、転校して他のチームでプレーすることを目指した。その後の診断で健康面での懸念が払拭されたこともあり、彼の下には多くの学校からオファーが来たが、最終的にカンザス州立大入りを決めた。

開幕から中心選手として活躍したジョンソンだが、ここで今後の人生に大きな影響を与える決断を下すことになる。NCAAではNBAドラフト1巡指名の可能性があって大学での出場資格が残る選手は、500万ドル(約7億円)の傷害保険制度の対象となる。ジョンソンはこの条件に該当しており、倒れた後に復帰して9試合以下の出場なら500万ドルを受け取ることができた。しかしその場合、彼は大学シーズンの終了後にプロとしてのキャリアを目指すことはできない。

そしてジョンソンは9試合を経過した後もカンザス州立大の選手としてプレーを続けることを選択。その結果、36試合すべてに先発出場し平均34.1分のプレータイムで17.4得点、6.8リバウンドとキャリアベストの数字を残し、NCAAトーナメントで同校をベスト8に導いた。

運命の1日を前にジョンソンはこう語る。「今年、僕はNBAスカウトに自分が最も高いレベルでプレーできることを証明し続けたと感じている。僕はオフボール、オンボールの両方でプレーし、高いレベルでシュートを決めることができる。また、すべてにおいて辛抱強くなれるし、自分の歩んできたプロセスを信頼している」

NBAドラフトでジョンソンの名前は呼ばれるか。各チームの選択と共に注目だ。