ジャ・モラント

「銃に関する無謀で無責任な行動は許されないことを明確にしたい」

グリズリーズのジャ・モラントは、リーグから25試合の出場停止処分を受けた。これは2023-24シーズンの開幕から適用され、今オフも含めて出場期間中はリーグやチームの公式な活動には一切参加できない。また、復帰には公開されていない条件を持たす必要もあり、それをクリアできない場合は出場停止期間が伸びる。

来シーズンの開幕から25試合となると、12月上旬までグリズリーズはエースのモラント抜きで戦うことになる見込みだ。

この1年、モラントはトラブルを連続で起こしている。昨年の夏にはメンフィスのショッピングモールで警備担当者を脅したことで警察沙汰となり、その直後にはピックアップゲームで一緒にプレーした17歳の少年を殴り、拳銃で脅したとして少年の母親から訴えられている。さらに1月には、ホームのペイサーズ戦が終わった後のアリーナの駐車場で、ペイサーズファンのグループから「モラントの乗る自動車からレーザーを照射された」と告発された。彼らはこれが銃に取り付けるレーザーサイトの光だと考え、撃たれる脅威を感じており、リーグが調査に乗り出す事態へと発展した。

そして2月3日、敵地でのナゲッツ戦を終えた夜、モラントはナイトクラブで拳銃を出す様子を自らSNSで配信した。この行動により8試合の出場停止処分を受けたモラントは一時期チームを離れ、カウンセリングを受けた。大きなプレッシャーを背負う精神的負担に耐えられなかったと彼は説明し、こんな言葉とともに戦線復帰を果たしている。

「言葉ではなく行動で示したい。自分自身の間違いによって大好きなバスケから9試合も遠ざかることになったのは、本当に傷付いた。僕は賢くなり、責任感を持って、悪い決断をしないようにする」

しかし、シーズン終了後の現地5月13日、友人であるダボンテ・パックのSNSによるライブ配信の中で、彼は再び拳銃を取り出した。一瞬の出来事ではあったが、拳銃を持つモラントの映像はSNSであっという間に拡散された。

これに対して、リーグは処分を発表した。NBAコミッショナーのアダム・シルバー名義で、こんな説明が付いている。「モラントが再びSNSで銃を振り回したことは、3月に同様の行為で出場停止をすでに受けていることを考えると深刻だ。若者がジャの行為を模倣する可能性について考えざるを得ない。25試合の出場停止は、銃に関する無謀で無責任な行動は許されないという明確なメッセージだ」

NBAの次代を担うスター選手であるジャ・モラントがSNSで銃を持ち出すことの影響力は大きい。バスケのド派手なプレーで彼にあこがれるようになった若いファンは、『銃を持つのはカッコ良い』というメッセージに影響されてしまう。NBAはこれを恐れており、モラントに厳しい処分を科した。

もう一つ大事なのは、モラントがもともと『ワル』ではなかったということだ。モラントはしっかりした家族の下、安定した環境で育ってきたが、NBAに来てスター選手へと駆け上がる過程でこのような行動を取るようになった。

アダム・シルバーはこのことを懸念し、プレーオフ期間中にモラントについてこう言及している。「今度の処分で大事なのは、3度目が絶対にないことだ。ジャが素晴らしい選手なのは間違いないし、とても魅力的な若者だと思っている。それは彼がSNSで絶大な支持を得ている理由でもある。ただ、そのリスクを理解し、責任を負わなければならない。彼は支援を必要とするならリーグは協力を惜しまない。彼がそれを受け入れ、今後は正しい道を歩むことを願っている」

コート上でのモラントはグリズリーズのエースとして責任を持ち、ただプレーするだけでなくロッカールームでのリーダーシップも発揮している。この責任感をコート外でも発揮できれば、こんなトラブルはもう起きないはず。「3度目が絶対にないことだ」と願うシルバーの思いは、モラントに通じるのだろうか?