マイケル・マローン

失点わずか89、完璧なチームディフェンスでヒートの爆発力を封じる

NBAファイナル第5戦。優勝に王手を掛けたナゲッツが高い集中力を見せ、ヒートを89得点に抑えて『4つ目』の勝利を得て、初のNBA優勝を果たした。

バム・アデバヨのダンクに続きマックス・ストゥルースが3ポイントシュートを決めてヒートが好スタートを切ったかに見えたが、ナゲッツはターンオーバー連発からすぐに気持ちを切り替えてディフェンスから立て直す。1ポゼッションずつ集中してヒートにイージーシュートのチャンスを与えず、攻撃に転じればオープンな選手をしっかりと見極めて得点を重ねていった。ヒートは積極的に攻めるものの、良い形が作れないまま放つシュートが決まらない。

しかしヒートも押されっぱなしではなく、アデバヨがペイント外の簡単ではないシュートも連続で決めて押し戻し、アーロン・ゴードン、ニコラ・ヨキッチが揃って個人ファウル2つでベンチに下がり失速したナゲッツを逆転。第1クォーターに14得点を挙げたアデバヨに牽引されたヒートが24-22と先行した。

第2クォーターもヒートが優勢で、ダンカン・ロビンソンの3ポイントシュートにセカンドチャンスからのレイアップと連続得点でリードを2桁に広げる。ナゲッツはゴードンが個人3つ目のファウルを取られてすぐにベンチに戻さざるを得ず、ジャマール・マレーも2つ目を取られ、いつもとは全く違うラインナップで戦うことになって持ち味である攻守の完成度の高さが出せない。さらに3ポイントシュートも15本打って決めたのはヨキッチの1本だけと当たりが来ない。それでも苦しい展開を我慢し続け、44-51と7点ビハインドでしのいで前半を終えた。

後半開始からナゲッツは先発の5人がコートに戻る。いまだファウルを気にする必要はあったが、それでも『阿吽の呼吸』が戻ってオフェンスが活性化。後半開始から5分と少しで、速攻からマイケル・ポーターJr.のアシストを受けたマレーの3ポイントシュートが決まり、60-60と追い付く。第3クォーター終盤には、ずっと決まっていなかったポーターJr.の3ポイントシュートが決まってナゲッツがリードを奪った。

70-71と1点をビハインドで第4クォーターへを迎えたナゲッツは、ヨキッチのフックシュートにマレーの3ポイントシュートで75-71と逆転し、ヒートにタイムアウトを取らせる。ヒートはアデバヨの前半のシュートタッチの良さがなくなり、ジミー・バトラーもマレーのディフェンスを振り切れずに苦しい状況でカイル・ラウリーがオフェンスを引っ張るが、速攻になりかけたタイミングでゴードンにパスカットを許したりとミスもあって波に乗れない。そしてナゲッツはディフェンスの集中が途切れず、ヒートがどんな揺さぶりをかけても完璧なローテーションを遂行して守り続けた。

ヒートはディフェンスを崩せない中で、バトラーが連続3ポイントシュートを決め、3度目はファウルを誘ってフリースローで繋ぐ。さらにポストアップからのジャンプシュートで87-86と逆転。すぐにヨキッチのシュートで逆転されるが、バトラーが再びファウルを誘ってフリースローで再逆転と、リードチェンジを繰り返す。

残り30秒を切って89-90と1点ビハインドのヒートはバトラーにボールを託すが、バトラーはアタックしきれず。仕切り直そうと戻したパスを、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープが狙っていた。優勝経験のあるベテランがこの勝負どころでスティールを決め、フリースロー2本を決めて92-89とリードを広げる。

タイムアウト後にバトラーが狙った3ポイントシュートはリングに嫌われ、ファウルゲームのフリースローをブルース・ブラウンが2本とも決めて94-89。このままタイムアップを迎え、ナゲッツが勝利。4勝1敗で優勝を決めた。