タイラー・ヒーロー

「NBAファイナルまで勝ち進んでくれれば間に合う」を実現させる

ヒートは1勝3敗と追い詰められた状況で敵地でのNBAファイナル第5戦を迎える。この試合でタイラー・ヒーローの状態が『クエスチョナブル』と発表され、いまだ万全ではないもののプレーする可能性が出てきた。

ヒーローはプレーオフのファーストラウンド初戦、第2クォーター終盤のディフェンスでルーズボールにダイブした。「飛び込むべきじゃなかったのかもしれないけど、プレーオフ初戦だしエネルギーを出したかった」と彼自身が振り返るプレーで右手首をフロアに打ち付けた。痛みを抱えながらも短い時間はそのままプレーして得点も決めたのが、彼は右手首を骨折していた。

すぐに手術を受けた彼は、右手にギプスを着けてチームに帯同し、ベンチから仲間たちを応援している。プレーイン・トーナメントを勝ち抜き第8シードでプレーオフに進んだヒートは、第1シードのバックスを沈めると、ニックス、セルティックスを撃破するアップセットを連発した。ジミー・バトラーとバム・アデバヨがチームを引っ張り、ヒーロー離脱の穴はマックス・ストゥルースが先発に抜擢されて埋めている。

ヒーローはケガをした直後から「チームがNBAファイナルまで勝ち進んでくれれば復帰が間に合うかもしれない」とリハビリに励んできた。その時点でヒートがNBAファイナル進出を果たすと周囲は見ていなかったが、ヒーローは信じて疑わなかった。ただ、彼がボールを使った練習を再開するようになっても指揮官エリック・スポールストラは「我々は責任を持って決断したい。準備ができるまではプレーさせない」と復帰を急がなかった。『クエスチョナブル』のステータスは万全ではないが、ヒーローの状態を慎重に見た上での判断がなされたのだろう。

負ければシーズン終了の土壇場ではあるが、ギリギリで間に合った。ヒーロー抜きでも他の選手がステップアップし、ヒートは素晴らしい戦いぶりを見せてきたが、それでも今はナゲッツの完成度の高いバスケに苦戦を強いられている。ボールを持ってリズムに変化を生み出し、自分で得点することもアシストもできるヒーローが復帰すれば、ヒートのオフェンスには明確な変化が生まれるはずで、ナゲッツ優位でここまで進んできたシリーズの流れを変える存在になるかもしれない。

コンディションが戻っていたとしても、8週間の戦線離脱により試合勘が失われているのは間違いない。しかもNBAファイナルで、プレー強度は限りなく高い試合となる。それでもヒーローはベストを尽くす。仮にその機会が来れば、ルーズボールを追ってフロアに飛び込む判断も躊躇なく下せるはずだ。